棚田とは、急な斜面を切り拓いて階段上に作られた水田です。日本だけでなく、中国やベトナムなど、稲作が行われている地域では数多く見られます。
日本での歴史は遠く飛鳥時代に始まったと言われています。土木技術が進み平地での水田開発の余地が少なくなった江戸時代に、全国で開発が進みました。現代は大型機械による農作業が困難であるため、棚田はどんどん減っています。しかし、向津具半島には、全国的には珍しくなった棚田がまだまだ残っています。
まず紹介するのは、半島と本土にはさまれた油谷湾の北側に点在する棚田です。この辺りの海は半島によって外海からさえぎられているので、波が穏やかです。この記事で紹介する他の2つの棚田に比べると規模は小さいです。湾内にあり、気候が穏やかなせいか、海岸すぐ近くまで棚田が降りているのが特徴です。
水深もそれほどないのでしょう。湾内にはいくつか小島が浮かび、その先には本土の町や道路を走る車が見えます。半島の田植え時期は5月上旬から6月頃。棚田は四季折々の風景が楽しめます。5月から初夏にかけては「水田、青空、日本海」3つの青が一番映える季節です。
油谷湾の出口近く・半島の最東端にある俵島。周囲は約900メートル。島全体が玄武岩でできています。岩肌が米俵を縦に積み重ねたように見えるところから その名がついたと言われています。岩の様子を米俵に例える所は、日本が長い稲作の歴史を持つからこそでしょう。
島は、県道357号線を終点から遠巻きに見ることはできます。しかし、島のすぐ近くに行くには、けもの道を歩く必要があります。写真は、県道から舗装路を少しだけ歩いた場所で撮影をしたもの。島とはいうものの、地図上でも写真上でも半島とわずかにつながっている様子がわかります。
棚田は、島のすぐ近くにも見て取れます。さらに写真の奥には角島が写っています。天気が良い日だと角島大橋も はっきり視認できます。
半島最北端である川尻岬のすぐ近くにある川尻地区。海岸のわずかな平地に住宅が立ち並び、周りの傾斜地には棚田がところ狭しと並んでいます。集落内の海側には 整備された近代的な漁港があります。
地区の歴史をひもとくと、江戸時代から明治にかけて、捕鯨の基地として栄えたとの記録があります。風景からは、半農半漁で人々が暮らしてきた様子がうかがえます。集落には蔵や造り酒屋の跡が残り、往時の繁栄ぶりがしのばれます。
東後畑の棚田は、半島北側の県道を川尻地区から約7キロ東に進んだ所にあります。この区間では、半島中央の山々が海に向かってなだらかに下っています。道は少し海から離れた場所を走っていますが、近くに高い山はなく、進行方向左手には常に日本海が見えています。
やがて目の前に農業用のため池が現れます。この一帯が東後畑地区です。車を止めて下を見ると、足元からずっと先の日本海まで棚田が続いています。
5月の田植え時期には、真っ青な空が映りこむ水田と日本海。収穫時期には、黄金色の稲穂と青い日本海。季節によって全く異なる風景を楽しむことができます。
油谷沖の日本海は、イカ漁が盛んな事でも知られています。漁が最盛期となる5月末から夏にかけての夜は、漁火に浮かび上がる幻想的な棚田を見ることができます。
半島内には、今回は紹介したスポット以外にも龍宮の潮吹、千畳敷などたくさんの見所があります。車窓の風景も美しく、運転中も見どころがいっぱいです。
角島、青海島までは車で1時間以内。黄波戸温泉、湯本温泉、俵山温泉といった全国的な名泉もすぐ近くです。温泉に宿を取り、国定公園でもある北長門の海岸風景を堪能してはいかがでしょうか。
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(2025/1/24更新)
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