旅行に関する国家資格の中で、最も有名な「旅行業務取扱管理者」。旅行業界に就職・転職を考えている方だけでなく、旅行が好きな方も取得のために勉強することで、旅行業務の中身を知ることができるおすすめの資格です。
今回は一番難易度の高い「総合旅行業務取扱管理者」を中心に、試験の内容や勉強法、おすすめテキストなどをわかりやすくご紹介します。地理や観光情報、時刻表の見方などにも詳しくなれますよ。
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https://www.photo-ac.com/旅行業法という法律により、旅行業者等は各営業所ごとに「旅行業務取扱管理者」を選任することが義務付けられています。その「旅行業務取扱管理者」は、以下の3種類に分かれます。
・総合旅行業務取扱管理者
・国内旅行業務取扱管理者
・地域限定旅行業務取扱管理者
ざっくり説明すると、取り扱う旅行商品の行き先によって必要な資格が異なります。
海外旅行:総合旅行業務取扱管理者
国内旅行:総合/国内旅行業務取扱管理者
国内の限定された地域の旅行:総合/国内/地域限定旅行業務取扱管理者
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https://www.photo-ac.com/旅行業務取扱管理者の仕事は、旅行契約などの管理・監督業務。取引条件の説明や、企画旅行の広告管理、旅行に関する苦情の処理などを行います。また旅行業務取扱管理者の資格を持っていると、自分で旅行会社を開くこともできます。
資格がないと旅行業界で働けないというわけではありませんが、就職・転職を考える人にとって、旅行業務取扱管理者は取っておくと有利な資格と言えるでしょう。
旅行業務取扱管理者試験の科目は以下の通りです。
■総合旅行業務取扱管理者
1.旅行業法及びこれに基づく命令
2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
3.国内旅行実務
4.海外旅行実務
■国内旅行業務取扱管理者
1.旅行業法及びこれに基づく命令
2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
3.国内旅行実務
■地域限定旅行業務取扱管理者
1.旅行業法及びこれに基づく命令
2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
3.国内旅行実務
各資格で出題内容は異なりますが、おおむね科目の分類に違いはありません。
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https://www.photo-ac.com/試験の内容は以下のとおりです。(総合旅行業務取扱管理者試験)
1.旅行業法及びこれに基づく命令
2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款
…旅行業法や旅行業約款などの法令について(各100点満点)
3.国内旅行実務
…JRの運賃計算、国内航空運賃の規則、国内地理など(100点満点)
4.海外旅行実務
…国際航空運賃の計算、海外地理、出入国法令、英文読解など(200点満点)
午前中に1、2の試験を80分で実施、お昼休みを挟んで3、4を120分。全科目を受験すると、合計200分の試験時間です。
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https://www.photo-ac.com/旅行業務取扱管理者試験には“免除”という制度があります。先述したとおり科目の重複があるため、もし国内旅行業務取扱管理者に合格すれば、翌年の総合旅行業務取扱管理者では「1.旅行業法及びこれに基づく命令」と「3.国内旅行実務」の試験が免除されます。
また、試験に不合格となっても一部の科目だけ合格基準点に達していた場合、翌年はその科目の受験が免除されます。ただし「1.旅行業法及びこれに基づく命令」「2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款」は科目合格しても一部免除の対象にはなりません。
(研修受講による試験科目の免除について、本記事では割愛します)
それぞれの試験は、例年以下の時期に実施されます。
国内旅行業務取扱管理者:9月
地域限定旅行業務取扱管理者:9月
総合旅行業務取扱管理者:10月
2か月ほど前から受験受付が始まります。一般的な申し込み方法は以下のとおりで、受付は郵送のみです。
1.受験願書を郵送で請求、または公式ホームページからダウンロードして必要事項を記入、写真を貼付
2.受験料を振り込む(インターネットバンキングは不可)
3.願書に振り込みを証明する書類の原本を添えて期日までに郵送
受験日の3週間ほど前に受験票が郵送されます。
会場は主要都市のみ。一つの都市で複数会場がある場合は選ぶことはできません。また、受験できない場合も返金されません。
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https://www.photo-ac.com/合格率は年によって異なり、2021年度の総合旅行業取扱管理者の全科目受験者の合格率は6.2%。業法、約款、海外旅行実務の3科目受験者は11.1%です。まずは国内旅行業取扱管理者の資格を取り、翌年に一部免除を利用して3科目で挑戦する方が取り組みやすいかもしれませんね。
それぞれの科目での合格基準は60%の正解率と言われています。すべての科目の合計点ではなく、各科目ごとに60%以上正解しないといけないため、全体的にまんべんなく学習を進める必要があります。
問題はマークシート方式なので、業法、約款のような暗記問題はテキストで反復学習することで1〜2か月もあれば正答率を上げることができますが、国内旅行実務はJRの運賃計算の仕組みを理解する必要があり、国内の観光地を幅広く覚える必要があります。また、海外旅行実務も運賃計算の理解と海外の観光地を覚えるだけではなく、英文で書かれた旅行に関する文章を読解しなければいけません。
旅行業の知識がない、観光地に詳しくない、英語が苦手、という方は、かなりの学習時間が必要となるでしょう。
一方、電車が好きで普段から時刻表を読み慣れている、温泉やお城、寺社仏閣巡りが好きでよく調べている、という方は、今まで培った知識が経験が役立つこともあります。
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https://www.photo-ac.com/総合旅行業務取扱管理者試験は市販のテキストが充実していて、出入国の法令や観光スポットなどは旅行好きな方になじみのある分野なので、独学でも勉強しやすい試験であると言えるでしょう。
年によって若干違いはあるものの、おおむね出題の傾向はあるため、市販のテキストを繰り返し学習することで合格圏内まで正解率を上げることはできます。
ただし、効率よく勉強してなるべく早く合格したい、一人で勉強するのが不安という方は、専門学校や通信教育の「総合旅行業務取扱管理者試験対策コース」を受講するのも一案です。出題のポイントを的確に教えてもらうことができ、困ったときにはアドバイスも受けられます。
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https://www.photo-ac.com/最後に、おすすめのテキストをご紹介します。
■2022年版 ユーキャンの国内・総合旅行業務取扱管理者 速習レッスン(ユーキャンの資格試験シリーズ)
旅行業務取扱管理者試験の入門書とも言える、定番のテキストです。過去問題をベースに細かな解説が書かれているので、理解しながら学習を進めることができます。
■2022年度版 総合旅行業務取扱管理者 過去問題集 TAC株式会社(出版事業部編集部)
ある程度の理解ができたら、そこからは過去問題をくりかえし解くのが合格の近道です。こちらのテキストは過去5年分の問題が1冊にまとまっているので、ガンガン解きたい方におすすめ。
■旅行業務取扱管理者試験標準トレーニング問題集(1 2022年対策)観光地理<国内・海外>(合格のミカタシリーズ)
“本気になったら大原”でおなじみ、「資格の大原」のテキストは細分化されているので便利。自分の弱点となる科目は学習を進めるうちに見えてくるので、苦手分野に絞り勉強したいときにおすすめです。
過去問題の反復学習が試験合格の重要ポイントですが、そのほかに以下のポイントもおさえましょう。
■ツアーパンフレットや旅番組など幅広くチェック
国内外で話題になっている観光地、スポットなどが出題される可能性が高いので、旅行会社のツアーパンフレットや旅行関係のニュース、旅番組、世界遺産に関する本などが参考になります。
■JR各社、航空会社、入国管理局などのHPをチェック
JR規則、国内航空券の種類、出入国の法令などは各HPに記載されています。過去に出題されていない問題や新しい制度などが出されることがあるので、必ず目を通しておきましょう。
■得意分野、不得意分野を切り分ける
科目ごとに60%を正解すればいいということは、得意な分野で確実に点を取ることが重要です。地理は範囲が広くすべてをカバーすることが難しいので、運賃計算や出入国法令など、反復学習で攻略しやすい分野に集中して取り組むなど、取捨選択して学習するのも一つの方法です。
旅行業界での実務経験がなくても、旅行が好きなら挑戦しやすい旅行業務取扱管理者試験。ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
※2022年7月現在の情報です。試験内容やスケジュールは変更される場合があります。また、本記事は個人の経験を基に執筆しており、試験合格を担保するものではありません。最新情報は公式サイトなどを必ずご確認ください。
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(2025/1/22更新)
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