新元号「令和」の由来が万葉集であることはご存知かと思いますが、ではなぜ福岡の太宰府がクローズアップされているのか?それは大伴旅人が「令和」の由来『梅花の歌』を詠んだのが赴任先の大宰府だったから。その『梅花の歌』が載っているのが万葉集。万葉集のふるさとは当時の都、奈良の飛鳥(現在の明日香村)というわけなのです。まずは福岡・太宰府からまいりましょう。
約4500首が収められている万葉集で、そのうち約320首が筑紫国(現在の福岡県東部)で詠まれたもの。量もさることながら優れた作が多く、「筑紫歌壇」という言葉さえ付けられています。
新元号「令和」の由来として一躍有名になったのが、大宰帥
(だざいのそち)として赴任していた大伴旅人(おおとものたびと)邸で開かれた「梅花宴」で詠われた32首でした。
「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、
梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす」
「大宰府展示館」には博多人形で再現された「梅花の宴」のジオラマがあります。まさに「令和」の元歌が詠まれた時です。
大宰府展示館
住所:福岡県太宰府市観世音寺4-6-1
電話:092-922-7811
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“令和”ゆかりの地!かぐわしき観梅の元祖「太宰府」by 万葉 りえ
地図を見る梅の名所といわれる所は全国各地にありますが元祖・梅花の名所として挙げられるのが太宰府です。菅原道真公を慕って京から梅の木が一夜で飛んできたという飛梅伝説でも知られています。現在も約200種6,000本もの梅の香りに包まれます。
しかし太宰府と梅の繋がりはそれだけではありません。ここで梅が咲きだしたのは万葉集の時代。まさに新元号「令和」ゆかりの地にふさわしい歴史がある地なのです。
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万葉集のミュージアム「奈良県立万葉文化館」は、万葉集の歌世界をたっぷり知り、遊び、体験することができる施設です。万葉文化を見て触って学べる仕掛けや学術的資料、万葉モチーフの美しい日本画まで、初心者からツウまで楽しめる工夫がぎっしり!
2019年は「令和」の改元を記念した特別講座や特別展示も行われます。
奈良県立万葉文化館
住所:奈良県高市郡明日香村飛鳥10
電話:0744-54-1850
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太宰府は「西の政府」として600年近い間、外交・軍事・内政の三権を担っていました。東アジアから最先端の文化を取り入れ、中央官庁をも超える規模を持っていた国際都市でした。
そんな太宰府(現在の福岡県太宰府市)にある「太宰府天満宮」は、菅原道真を祭神とする神社。楼門や本殿は、季節によっては朱色と緑が美しい色合いを見せてくれます。庭も美しく、日本らしい苔や木々の色どりが「和の空間」を演出しています。
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「太宰府天満宮」の境内には様々な逸話もあります。人々の運を開き幸せを運ぶ天神様の守鳥の鷽(うそ)どりのおみくじは可愛くて個性的。鷽鳥とは、天神さま(菅原道真)を守る鳥で、人々の運を開き幸せを運ぶと長く信じられています。
またおみくじは季節ごとに色が変わるのをご存知でしたか。例えば1月1日〜3月31日は梅の色で淡いピンク、10月は特別受験合格祈願大祭のイメージカラー、濃い水色です。
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太宰府天満宮は全国に約12,000ある天満宮の総本宮ですが、こちらにいらっしゃる神様は天神様(菅原道真公)だけではないのです。
太宰府天満宮の境内には有名な神社の摂社や末社があるのです。あの天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとして、なんと37社!また「お菓子の神様」や近年パワースポットとして知名度が上がってきた天開稲荷社もあり、太宰府天満宮の奥深さが感じられます。
太宰府天満宮
住所:福岡県太宰府市宰府4丁目7番1号
電話:092-922-8225
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福岡駅から太宰府へ直通で行ける西鉄の電車「旅人(たびと)」。この列車のコンセプトは「列車に乗ったら、そこが太宰府」です。
名付け親は第39代太宰府天満宮宮司の西高氏。太宰府を旅する人というだけでなく、新元号「令和」の由来となった歌を詠んだ大伴旅人の名も込めて付けられた「旅人」なのです。
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天満宮だけじゃない!レンタサイクルで太宰府の見どころ巡りby 万葉 りえ
西鉄電車の太宰府駅を出たら、そこはもう太宰府天満宮の参道。多くの史跡巡りもレンタサイクルなら小回りがきいて、半日もあれば大丈夫。
レンタサイクルは太宰府駅で借りられるのでとても便利です。レンタサイクルの割引券がついた切符のセットもあるので、自転車を借りる前に確かめておきましょう。
柿本人麻呂が「大君の遠の朝廷」とまで詠った大宰府。彼らが詠んだ歌の歌碑が、あちこちで迎えてくれます。
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大宰府は古代の筑紫国に置かれていた行政機関。現在の九州および周辺の島国を統治の対象としており、おもに外交や防衛を任務としていました。万葉集に少し詳しい人であれば、大宰府の役人として都から下向し、歌を詠んだ山上憶良や大伴旅人・家持親子の名を思い出すはず。
現在、その跡地は国の特別史跡に指定されており、遺跡の保存や整備がはかられています。今回はかつて繁栄をきわめた大宰府の跡地および周辺施設をめぐり、その豊かな歴史に触れてみましょう。
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太宰府天満宮には梅を愛でる道真公にまつわる伝説が残っています。御神木「飛梅(とびうめ)」は有名で、道真公が京から大宰府へ左遷される際に、後を追って飛んできた梅の木と言われています。
そんな太宰府天満宮グルメに「梅」が多いのも納得。代表的な「梅ヶ枝餅」、太宰府天満宮で採取された梅の実だけで作られる梅干「天神さまの梅」、太宰府天満宮の神事に使われている縁起の良い塩「献上願塩」も梅入りなのです。
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昭和23年創業の「梅園 菓子処」は、太宰府天満宮に祀られている菅原道真公に因んだ和菓子を作り続けています。
「うその餅」は綺麗なペールグリーンが眩しい中、職人手描きの“うそ”が埋もれています。通常は緑色ですが、毎月25日の天神様(菅原道真公)の日限定で、ピンクの“紅梅色”が販売されます。この「うその餅」は、今までの悪いことを嘘にして良いことに替えましょうという、太宰府天満宮の“うそかえ神事”に因んでのものです。
梅園 菓子処
住所:福岡県太宰府市宰府2-6-16
電話:092-922-4058
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参道で絶対に食べたいのが伝統の「梅守」と定番の「梅ヶ枝餅」。
紫色の梅鉢紋と焼印、そして墨文字が古風な印象の「梅園 菓子処」の「梅守」は“雪中にあって凛然と咲く梅花”の持つ気品高さを表現しています。
「梅ヶ枝餅」。といっても梅が入っているわけではありません。道真公と老婆の伝説から命名され、梅の焼印が入った小豆餡の“焼き餅”です。どこで買うか迷いますが“生地はパリパリ、餡は甘さ控えめ”で選ぶのなら、オススメは「茶房きくち」です。
茶房きくち
住所:福岡県太宰府市宰府2丁目7-28
電話:092-923-3792
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福岡の大宰府から、奈良の明日香村に舞台を移しましょう。
飛鳥時代に大和朝廷の都が置かれていた奈良県明日香村には、その名も「飛鳥川」という川が存在します。そんな飛鳥川の上流一帯は「奥飛鳥」と称され、今もなお日本の原風景というべき農山村風景を目にすることができるのです。
日本の棚田百選「稲渕(いなぶち)の棚田」を通り過ぎると、すぐに稲渕の集落に到達します。写真のように橋替わりの飛び石が置かれているのですが、万葉集にも『飛鳥川 明日も渡らむ 石橋の 遠き心は 思ほえぬかも』という歌が詠まれています。
基本情報
奈良県高市郡明日香村稲渕
近鉄飛鳥駅より明日香周遊バス「健康福祉センター」にて乗り換え明日香循環バス「稲渕」下車すぐ
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謎の巨石遺跡・石造物がたくさんある明日香村でも特に有名な石舞台古墳。実は桜の名所でもあるのです。
巨石を組み合わせた石舞台を中心に芝生の広場が作られていて、まるで円を描くようにソメイヨシノが植えられているのです。これが春に満開の花をつけて石舞台を縁どります。それは見事な眺めです。
この石舞台古墳が誰のお墓であったかは諸説ありますが、一番有力なのは蘇我馬子の墓であるという説です。一族が天皇の外戚として、当時大変な権力を有していたことがうかがえます。
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「飛鳥寺」は蘇我馬子が建立したお寺で、飛鳥時代に造られた日本最古の大仏である「飛鳥大仏」をご本尊として祀っています。
「飛鳥大仏」を正面から見ると、頭部だけが少し右を向いた格好になっているのが特徴的で、お寺の方によると聖徳太子生誕の地である橘寺の方向を向いていると言われているんだそう。歴史のある仏像としては珍しく写真撮影が可能です。
飛鳥寺
住所:奈良県高市郡明日香村大字飛鳥682
電話:0744-54-2126
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明日香村を代表する三大古墳のひとつが、壁画で有名なキトラ古墳。発掘調査後は盗掘のために破壊された石槨も修復され、綺麗に整備されています。
さらに「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」が併設され、天文図をはじめとする数々の壁画の魅力を多角的に伝えています。
キトラ古墳壁画体験館 四神の館 キトラ古墳壁画保存管理施設
住所:奈良県高市郡明日香村大字阿部山67
電話:0744-54-5105
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「橘寺」は聖徳太子誕生の地として有名で、本殿(太子殿)には「聖徳太子御誕生所」と大きく記されています。ご本尊は聖徳太子35歳の時のお姿であり、重要文化財である「勝鬘経講讃像」です。
こちらのお寺で必ず立ち寄りたいのが、本堂奥、東門を入って左手にある往生院。この往生院の天井には、写真のような美しい花々の絵で埋め尽くされています。格子天井のひとつひとつが現代画家たちから奉納された作品。絵だけでなく、春は境内で満開の桜を楽しむこともできますよ。
橘寺
住所:高市郡明日香村橘532
電話:0744-54-2026
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奈良観光なら明日香村!花の寺「岡寺」の石楠花がまるで極楽by Sige panda
地図を見る明日香村にある、花の美しいお寺をもう一軒。石楠花(シャクナゲ)や天竺牡丹(ダリア)が美しいお寺「岡寺」です。“花の寺”とも呼ばれ、四季折々の花や紅葉が見事です。
GW頃の石楠花まつりと同時期に、境内の池は「華の池」に変わります。仁王門近くの池から手水舍、本堂前の鉢などに浮かぶ、たくさんのダリアはなんともフォトジェニック!
岡寺
住所:高市郡明日香村岡806
電話:0744-54-2007
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明日香村のランチにおすすめのお店が「cafe ことだま」。酒蔵を改装した趣のあるカフェで、ランチのメニューは「ことだまランチ」の1種類。明日香村産の新鮮な野菜を中心とした優しい味付けのランチで、売り切れてしまうこともあるほどの人気です。
「ことだまランチ」は事前予約が可能なので、確実に食べたい方はあらかじめ予約しておくことをおすすめします。
cafe ことだま
住所:奈良県高市郡明日香村岡1223
電話:0744-54-4010
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「まさかこんなに時が過ぎてクローズアップされるとは!?」
大伴旅人さんも、当時の大宰府や飛鳥/明日香のみなさんも、21世紀に人々が押し寄せることになるとは、夢にも思ってもみなかったでしょうね。
これからテストや入試には、大宰府や飛鳥時代や万葉集が出るかもしれませんよ?ちなみに教科書に出てくる大伴家持は旅人の息子さんだそうです。
2019年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認のうえお出かけください。
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(2024/3/19更新)
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