中国中央部にある陝西省(せんせいしょう)の省都・西安市。紀元前11世紀以降、約二千年に渡り数々の王朝の都として栄えた中国の古都です。かつては長安と呼ばれた時代もあり、シルクロードの東の起点にあたる場所。三蔵法師ゆかりの塔やダイナミックな兵馬俑など、長い歴史の中で創り上げられた建物や遺跡がたくさんあります。
トラベルjpナビゲーターが現地取材した情報を基に、元旅行会社スタッフのトラベルjp ナビゲーター 木内つばめが西安のおすすめ観光スポットをご紹介します。
1974年、農民が井戸を掘っていたとき偶然見つけた陶器の破片がきっかけとなり発見された「兵馬俑(兵馬俑博物館)」。世界遺産として登録されている史跡で、そのスケールの大きさを確かめるべく世界中から多くの観光客が訪れます。
“俑”とは古代中国で死者を埋葬する際に副葬された人形のこと。ゆえに兵馬俑とは副葬された俑のうちの兵士及び馬を型どったものを指します。兵馬俑遺跡には、等身大サイズの俑が推定8000体も埋められていました。これほどの大規模な兵馬俑を有するお墓が一体誰のものか?…というと、映画『キングダム』でお馴染みの秦の始皇帝。始皇帝の絶大な権力を象徴する遺産と言えるでしょう。
<基本情報>
住所:陝西省西安市臨潼区
アクセス:西安市内から車で約1時間
公式サイト(外部リンク)
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兵馬俑から少し離れたところにある「始皇帝陵」。周囲約6.2km、高さ76mと巨大な規模を誇る、始皇帝の陵墓です。始皇帝は紀元前210年に亡くなり、この陵墓の中心に葬られています。当時は陵(墓)の上に宮殿や楼閣が築かれていたと言われています。
始皇帝は皇帝となった時から陵墓の建設を始め、38年の歳月と70万人の人々を動員し、自分の墓を完成させました。現在は公園として整備され、記念碑のはるか向こうに山としてそびえる陵が見えます。
<基本情報>
住所:陝西省西安市臨潼区
アクセス:西安市内から車で約1時間
公式サイト(外部リンク)
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西安市内のちょうど中心地にあり、観光拠点にもぴったりな「鐘鼓楼広場」。西安市内の観光で道がわからなくなってもここを目指せばなんとかなるので、最初に訪れておくのがおすすめです。
広場内には、約600年もの歴史を持つ鐘楼、明の時代に太鼓をたたいて時刻を知らせていたと言われる鼓楼があります。鐘楼は釘を使わずに建てられているので、そこにもぜひ注目してみましょう。
<基本情報>
住所:陝西省西安市蓮湖区北院門
アクセス:地下鉄2号線・鐘楼駅から徒歩5分
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1370年代(明の時代)にレンガを積み重ねて作られた「西安城壁」。西安の城壁の素晴らしさは、四方の壁全てが残っているというところ。完全に保存されている世界最大の古代城壁として、また世界で最も整った古代の軍事砦として有名です。
約14kmにわたって西安の街を長方形に囲っている城壁は、その上を伝って一周することが可能。一般の自動車が入れないものの、人や自転車が行き交うことができるほど立派な道になっています。徒歩だとだいぶ時間がかかるため、ぐるっと周るならサイクリングがおすすめ。おおよそ2時間かかります。
<基本情報>
住所:陜西省西安市碑林区環城南路
アクセス:地下鉄2号線・永寧門駅から徒歩9分
公式サイト(外部リンク)
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西安の夜は「回民街」へ出かけてみましょう。ここは西安で最も大きなモスク“清真大寺”がある地域で、イスラム教徒が多いエリア。そのため、イスラムと中華がミックスされた独特のローカル食堂がたくさん!イスラム教の人々に好まれるラム肉やハラール料理を味わうことができます。他にもヨーグルトや果物といった甘味も豊富。
夜になると人出がグッと多くなるので、荷物や貴重品には注意しながら楽しみましょう!
<基本情報>
住所:陝西省西安市蓮湖区回民街
アクセス:地下鉄2号線・鐘楼駅から徒歩10分
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玄宗と楊貴妃のロマンスの舞台となったのが、驪山(れいざん)の麓にある温泉地「華清池」。玄宗は、毎年秋から翌年の春まで、楊貴妃とともにこの華清宮で歓楽の日々を過ごしていたと言われています。
敷地内の御湯遺跡博物館では、楊貴妃が入浴したといわれている海棠湯、玄宗皇帝と愛を育んだ蓮華湯、宮女専用の尚食湯、太子湯など浴場の遺跡が発掘され、一般公開されています。海棠湯は、花の形でとてもかわいらしい造りです。
<基本情報>
住所:陝西省西安市臨潼区
アクセス:バス306、307路「華清池」下車
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城壁に囲まれた西安の中心部から5kmほど南にあるのが、「大雁塔(だいがんとう)」という唐の時代に建造された煉瓦造りの美しい塔。西遊記でおなじみの玄奘(三蔵法師)がインドから持ち帰った経典を保存するために建てられたものです。大慈恩寺という仏教寺院の敷地内にあり、塔の最上階まで登ることが可能。夜間には美しくライトアップされ、大雁塔の北にある広場では、ライトショーや噴水ショーなども行われます。
<基本情報>
住所:陜西省西安市雁塔区雁塔路南段11号 大慈恩寺内
アクセス:地下鉄3号線・大雁塔駅から徒歩8分
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西安城壁には東西南北と4つの門がありますが、そのうち最大規模のものが「安遠門(北城門)」。重厚な造りで、城壁でサイクリングする際にも、いったんここで足を止める価値があるでしょう。
ここでは入場式典を見学することができます。大きな旗を持つ威厳ある門番をはじめ、昔の衣装に身を包んだ人々の行列などが繰り広げられる15分ほどの式典ですが、中国の大河ドラマを見ているような気分を味わえます。安遠門がどのように使われていたのかを想像するような時間を楽しめますよ。
<基本情報>
住所:西安中心区
アクセス:安遠門駅から徒歩8分
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「陝西省歴史博物館」は、古都西安の長い歴史をまるごと堪能できる場所。西安を中心とした陝西省各地の出土品や文化財の所蔵数は、10万点以上にも上ります。年代順に3つの展示室に分かれており、特に見応えのあるのは第3展示室。壮大な唐代の壁画に圧倒されるでしょう。
その他、世界最古の紙や曲線美が美しいメノウ杯など、刺激溢れる展示が満載。一日いても飽きることがありません。
<基本情報>
住所:陜西省西安市雁塔区小寨東路91号
アクセス:地下鉄2、3号線・小寨駅から徒歩10分
公式サイト(外部リンク)
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「古観音禅寺」は、唐の貞観年間(628年)に創建された千年古刹のひとつ。中国にありがちな華美できらびやかな外観とは無縁の、素朴で地味で落ち着いた禅寺です。狭い境内でとびきり存在感を放つのは、イチョウの巨木“千年銀杏樹”。毎年11月中旬にはおびただしい数の落ち葉が境内を埋め尽くし、まばゆい金色の絨毯に変貌します。
イチョウの足元には神々しい観音菩薩像が設置され、イチョウの黄金がまるで菩薩の後光のように見えます。
<基本情報>
住所:陝西省西安市東大鎮羅漢洞村
アクセス:南石村のバス停留所からは徒歩15分
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8世紀に建造された「清真大寺」はイスラム教のモスク。古い時代のモスクなので、中国の建築様式で建てられており、ドームやミナレットなどがありません。
色彩豊かな櫓、八角形の省心楼などがある一方、庭には礼拝の前に体を清める浴室、唐草模様やアラビア文字などが壁に描かれた礼拝堂など、イスラム要素もしっかり息づいています。イスラム文化と中国文化との融合によって生まれた、独特な造りを見てみてくださいね!
<基本情報>
住所:西安市蓮湖区化覚巷30号
アクセス:地下鉄2号線・鐘楼駅からすぐ
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隋の時代に創建された「青龍寺」は、空海ゆかりの地としても有名なお寺。空海はここで密教の奥義を授け、日本で真言宗を開いたと言われています。空海の出身地である香川県などから寄贈された桜の木が1,000本も植えられており、春には美しい光景を見せてくれます。
青龍寺は四国八十八ヶ所の0番札所ともされており、御朱印を集めている方であればぜひ訪れたいところ。日本との繋がりを感じながら見学してみましょう。
<基本情報>
住所:西安市雁塔区西影路鉄炉廟村北
アクセス:地下鉄3号線・青龍寺駅から徒歩5分
大雁塔のある大慈恩寺から南に約2.1kmに伸びる商業エリア「大唐不夜城」。唐代建築を模した建物が並び、昼夜問わず賑わっている界隈です。
特に夜は一帯がライトアップに彩られ、幻想的な世界へと引き込まれる感覚を味わえます。ショーやパフォーマンスを見ながら、エリア内にあるショッピングモールで買い物をしたり、レストランでの食事を楽しんだりするのが、ここでの過ごし方です。
<基本情報>
住所:曲江商圈雁塔南路
アクセス:地下鉄3号線・大雁塔駅から徒歩10分
日本からの直行便が就航し、時差もほとんどない西安は週末旅にもぴったりの場所。兵馬俑をメインにした弾丸旅行もいいですが、今回は少し余裕をもって巡る3泊4日のモデルコースをご紹介します。
【西安・モデルコース一例】
<1日目>
日本から直行便で約5時間半、西安へ。到着時にはすでに夜。西安中心部のホテルにチェックインするも、1日目がもったいないので、ライトアップされた「鐘鼓楼広場」を見に出かける。思った以上の存在感に一気にテンション上昇!近くのレストランでさくっと食事を済ませ、ホテルに戻って就寝。
<2日目>
この日は中心部を離れて、「兵馬俑」へ。兵馬俑の実際のサイズと数、そして1人ひとりの顔が違うという細やかさに驚くばかり。続いて「始皇帝陵」へ。なだらかな丘のような陵で、イメージしていたものと違って穏やかな場所。散策するような気分で歩いてみる。昼食を挟んで「華清池」へ。楊貴妃と玄宗皇帝のロマンスを想像しながら、ゆっくりと見てまわる。中心部に戻ってきて、「大唐不夜城」でナイトライフを満喫。
<3日目>
3日目は中心部を観光。まずは「西安城壁」をサイクリングすることに。城壁とは思えない立派な道があり、心弾むエクササイズとなる。4つある門の中で、最も見応えがあると言われている「安遠門」の貫禄は圧巻!自転車を降りて、しっかり写真撮影もする。体を動かしたのでお腹がぺこぺこ。「回民街」でイスラムと中華のフュージョン料理でランチ。そのままショッピングも楽しみながら、近くにある「清真大寺」へ。いろんな国でモスクを見てきたけれど、初めて出会うタイプのイスラム寺院に新鮮さを感じる。最後の夜は豪勢に、中華舞踊のディナーショーに参加。
<4日目>
御朱印集めが趣味の同行者のリクエストにより、「青龍寺」へ。四国八十八ヶ所の0番札所と聞き、珍しさに心惹かれてちゃっかり自分も御朱印をもらう。まだ少し時間があるので「大雁塔」へ。塔の上に登って大正解!4日間お世話になった西安の景色を見渡すことができ、この旅に相応しい締めくくりとなる。空港に向かい、直行便で日本へ帰国。
もう少し延泊できるのであれば、三国志の古戦場跡である“五丈原”や近郊の観光地へ足を伸ばすこともできるでしょう。滞在日数に合わせて、ご自身のテーマに沿ったプランを考えてみるのも楽しい作業です。
画像提供:Photo by (c)Tomo.Yun
くわしいモデルコースは、下のリンク先からぜひチェックしてくださいね!
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長い歴史の中で独自の文化を創り上げた西安。規格外の兵馬俑坑のインパクトはもちろんですが、大きな城壁がある街での暮らしというのもたいへん興味がそそられますね。北京も上海も訪れたことがあるという方は、ぜひ次は西安へ!日本では見ることのできない光景と出会いに行ってみましょう。
(文:木内つばめ)
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