ヒマラヤ山脈の北側、澄み切った空の下に広がる平均高度約4000mのチベット高原。大自然と神秘的なチベット仏教が織りなす独特の世界を全身で感じられる場所、それがチベットです。かつては独立国家でしたが、現在はチベット自治区として中国の一部になっています。この辺境とも言えるような地で、古くから独自の文化を貫いてきた人々の暮らしや思いに触れることは、他の旅では体験できないような感動を与えてくれるでしょう。
今回は、元旅行会社スタッフのトラベルjp ナビゲーター 木内つばめがチベットのおすすめ観光スポットをご紹介します。
チベット自治区の区都・ラサにある「ポタラ宮」。標高約3700mの真っ青な空に聳えるチベットが誇る世界遺産です。歴代のダマイラマが居住し、チベット仏教の中心となる場所で、単体建築物として世界最大級の建物。
建物はおおよそ2つの領域に分かれており、白宮は、チベット人にとって“ポタラ(観音様)”でもあるダライラマの居住エリア、そして政治的な執務が行われる場。紅宮は宗教的な聖なる空間とされています。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市城関区
アクセス:民航班車ポタラ宮(布達拉宮)バス停から徒歩9分
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初めてチベットを統一王国して導いたソンツェン・ガンポ。その妃として唐から嫁いできた文成公主が建立した仏教寺院が「ラモチェ寺」です。唐代の建築様式を伝える寺院でしたが、残念ながら火災で何度も焼失し、現存するのは建て直されたものになります。
めったに遭遇することはできませんが、運が良ければ砂曼荼羅の制作風景を見ることができるかもしれません。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市城関区
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「チャクポリ(薬王山)」はポタラ宮から道を挟んで斜め向かいにある山。かつてここには医学院がありましたが、1959年に中国軍よって破壊されました。
上まで登って行くとポタラ宮の全体を見ることができるため、絶好の撮影スポットとして人気を博しています。山内には、“サンゲ・ドゥング”という“千の仏陀”の意味を持つ摩崖石刻があり、所狭しと描かれた極彩色の仏画を目にすることができます。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市城関区北京中路
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薬王山の東側にあるのが、崖にへばりつくように建っている「パラルブ寺」。ソンツェン・ガンポ王が7世紀ごろに創建した石窟寺院で、ご本尊のお釈迦様は洞窟の中に祀られています。
庭には、たくさんの小さなバターランプが一面に並んでいる小屋が。炎がゆらめくランプのそばには、火を消さないように一生懸命管理をしている僧侶がいます。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市城関区
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「ジョカン(大昭寺)」も、文成公主によって建立された寺院。本尊となった釈迦牟尼仏金像は、文成公主が唐から持参したものと言われています。回廊には、中に経文がおさめられた“マニ車”がいくつも置かれています。マニ車とは、1度回せばお経を一度唱えたことになるという仏具。右回りに回しながら進んでいくことで、お経を唱えながら回廊を歩くことになります。
また正門の前では、“五体投地”を捧げているチベット仏教徒の姿を見ることも。五体投地とは、両手・両膝・額を地面に投げ出して行われる礼拝方法。人々の熱心な信仰心を伺うことができるでしょう。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市城関区
「アニツァングン(倉姑寺)」はラサ地区にある尼僧院。主尊は金色に輝く十一面千手観音で、本堂の隣には、ソンツェン・ガンポが瞑想したという洞窟のような部屋が残っています。その他、マニ車や仏像の中に入れる小さな経典を作る工房も敷地内にあります。入り口脇にある休憩所で、ヤクのミルクティーを飲みながら一息ついてみてくださいね。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市城関区
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チベット語で“宝の庭”という意味を持つ「ノルブリンカ」。1755年、ダライ・ラマ7世によって造られた夏の離宮です。以降、園内には歴代のダライ・ラマが建造した建物があります。特に人々の目に留まるのが“永遠に変わることのない宮殿”を意味する“タクテン・ポタン”。1954年、ダライ・ラマ14世の住居として建てられた2階建ての建物で、豪華さが際立っています。他の建物との違いを見比べることができ、たいへん興味深い時間を過ごせるでしょう。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市民族中路1号
アクセス:ポタラ宮から西へ約3km
ラサ北郊のセラ・ウツェ山(烏孜山)の麓に位置する「セラ寺」は、チベット仏教に4つある宗派の1つであるゲルク派(黄教)の寺。明の永楽17年に建てられたもので、最盛期には8千人あまりの僧侶がいたと言われています。
セラ寺では、質問・回答式で経文への理解度を確認し合う“辯經”という修行が600年以上も続けられています。また、寺内には1万体以上の仏像が保存されており、セラ寺の規模がいかに大きいかを物語っています。
<基本情報>
住所:チベット自治区ラサ市城関区色拉寺
標高4718mの高所にある「ナムツォ」は、チベットに3つある聖湖のうちの1つ。琵琶湖の3倍もの大きさがあり、ナムツォの空と交わるような青色、そして湖越しに迫る7000m級のニェンチェンタンラ山脈が生み出す景観は圧巻の一言です。
駐車場から湖までは、有料ですがヤクに乗っていくのがおすすめ。少し高い視界に徐々に入り込んでくる青い湖と山々から、じわじわと感動の波が押し寄せてきます。
標高が高いため高山病になる人も多いので、ラサでしばらく高度順応してから向かう方がいいでしょう。
<基本情報>
住所:チベット ダムシュン県
アクセス:ラサから車で約250キロ(片道4時間半)
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チベット三大聖湖のもう1つが、標高4441mにある「ヤムドク湖」。“トルコ石の湖”という意味をもち、その名の通りターコイズのような青色を放つ湖です。まるで空の色を吸い込んだようなブルーは、まさに自然美の極み。ヤムドク湖手前のカムパ峠(4749m)からは、雪化粧をしたヒマラヤ山脈も望むことができます。
ラサからヤムドク湖までは車で1時間半くらい。ナムツォよりも行きやすいため、観光客に人気の場所です。
<基本情報>
住所:チベット自治区山南市ナンカルツェ県
アクセス:ラサから車で約1時間半
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2006年に開通した「青蔵鉄道(せいぞうてつどう)」は、中国西部からチベット自治区のラサを結ぶ、総延長1956kmの鉄道です。鉄道のほとんどが標高4000mを超える位置を走っており、最高地点では富士山の標高を遥かに超える5072m!西部の西寧から出発してラサまでで1泊2日ほどかかりますが、食堂車に加え、車内販売や途中駅で列車の到着に合わせて屋台が出るので、食事には困りません。
夏のシーズン中は列車のチケットを取るのが難しくなるので、早めに手配しましょう。
<基本情報>
住所:西部の青海省西寧とチベット自治区ラサ間
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唯一無二の世界を体感できるチベットは、やはり一生に一度は行ってみたいような場所ですね。個人旅行なら、日本からのアクセスが良い成都から青蔵鉄道の旅を楽しみながらチベット入りするのも旅情溢れるものでしょう。しかし、手配や移動の大変さ、高山病の不安がある場合は、無理せずに添乗員同行のツアーに参加して、観光に集中するという楽しみ方も選択できます。
チベット自治区に入るには、入境許可証(パーミット)の手配が必要です。ラサへと向かう列車や空港での搭乗手続きで必ず提示を求められるビザのようなものですが、旅行会社を通して申請することになります。日程に余裕を持って、出発の2〜3ヶ月前に手配しましょう。
寺院や宮殿を見る際には、持ち込みが禁止されている物、撮影不可の場所があるので、マナーを守って気持ちよく観光してくださいね!
(文:木内つばめ)
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