ベルベル語で“神の国”を意味するマラケシュ。マラケシュはモロッコのほぼ中央、サハラ砂漠の西方に位置するかつての帝都です。城壁に囲まれた世界遺産の旧市街をはじめ、迷路のように入り組んだ路地には活気あふれるスーク(市場)など見どころがたくさん!
トラベルjpナビゲーターが現地取材した情報を基に、元旅行会社スタッフのトラベルjp ナビゲーター 木内つばめがマラケシュのおすすめ観光スポットをご紹介します。
昔ながらのマラケシュの雰囲気を満喫できる「旧市街(メディナ)」は、1985年に世界遺産に登録されました。マラケシュは11世紀のムラービト朝から都とされてきましたが、当時から育んできた文化を垣間見られるような場所。東西2km、南北3kmの城壁に囲まれており、タイムカプセルのように街並みが閉じ込められています。
複雑に入り組んだ細い路地には、所狭しと数々のお店が林立。迷子になりながらの散策がここでの醍醐味です。
<基本情報>
アクセス:マラケシュ駅からバスで約15分
公式サイト(外部リンク)
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「ジャマ・エル・フナ広場」はマラケシュ旧市街の中心となる、縦400m、横300m四方の巨大な広場。昔は処刑などが行われていた場所でしたが、現在は100以上の屋台がひしめく、交易の場となっています。
昼夜問わず人で溢れているジャマ・エル・フナ広場ですが、訪れるなら夕暮れ時がおすすめ。活気が最高潮に達し、露店から漏れ出す光に気分も高揚します。広場周辺に点在するカフェやレストランの屋上で休憩すると、賑やかな様子を見ながらお茶や食事ができますよ。
<基本情報>
住所:Place Djemaa El Fna, Marrakech
アクセス:マラケシュ駅からバスで約15分
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「スーク」とはアラビア語で“市場”。モロッコ特産のなめし皮を使ったバッグ、スリッパなどを扱うお土産屋さんや、ハーブや香辛料、魅惑的な光を放つモロッコ・ランプなどが、迷路のように入り組んだスークで売られています。どの商品にも値札はなく、値段交渉をしながら購入するのも楽しみの1つ。地元客とどんなやりとりをしているかを見ているだけでも、おもしろさがあります。
日本人に人気なのが、モロッコ雑貨の代名詞とも言える“バブーシュ”。柔らかいレザーのスリッパでさまざまな刺繍が施されています。壁一面に並べられた中から、あなた好みの一足を見つけてみてくださいね!
<基本情報>
アクセス:ジャマ・エル・フナ広場の周囲
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ジャマ・エル・フナ広場から歩いて10分程の場所にある「伝統工芸館」は、新市街にある観光スポット。モロッコ政府公認の手工芸職人協会による施設で、職人さんによる実演を見ることができます。
工芸品の販売もしており、値札付きで並ぶ絨毯、革製品、食器やアクセサリーなどを購入することも可能。スークでの値段交渉が苦手という方は、ここでストレスなくショッピングすることができます。先に伝統工芸館を訪れれば、スークでの値段交渉前に価格相場を学ぶこともできるでしょう。
<基本情報>
住所:Avenue Mohammed V, Marrakech
アクセス: ジャマ・エル・フナ広場から徒歩約10分
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1920年代にフランス人画家のジャック・マジョレルが造園した「マジョレル庭園」。マラケシュ新市街にあります。彼の死後には荒れてしまった庭園を、1980年にデザイナーのイヴ・サンローランが買い取り、別荘として使用するようになったことで有名になりました。
緑溢れる庭園の中にあるのは、“マジョレルブルー”と呼ばれる目が覚めるような青を基調とした建物。人工物と世界中から集められた植物を見事に共存させた、芸術的な景色を見せてくれます。
<基本情報>
住所:Rue Yves St Laurent, Marrakech
アクセス:ジャマ・エル・フナ広場から車で約10分
公式サイト(外部リンク)
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「アイト・ベン・ハッドゥ」は、モロッコで最も美しい村とも言われている世界遺産。過酷な環境下で原住民の知恵によって築かれた伝統的な街です。大きな岩山をくり抜いて住居が連なり、褐色の世界で今も人々の暮らしが営まれています。
元々はアフリカ大陸中央部からのキャラバンをチェックする、要塞兼関所としての機能がありました。現在は優れた景観の美しさにより、映画の撮影にもよく使われています。マラケシュから距離があるので、訪れる際にはツアーを利用するのが便利ですよ。
<基本情報>
住所:Ait Ben Haddou
アクセス:マラケシュ市内より車で約4時間
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「ベン・ユーセフ・マドラサ」は、16世紀に建てられたイスラム神学校。最盛期には900人もの学生が暮らしながら勉強していたという大規模な神学校でした。広さはもちろん、緻密に並べられたタイル、天井の装飾、化粧漆喰など、細やかな内装が観光客の目を楽しませてくれます。
メディナの中心部にあるにもかかわらず、マドラサの門をくぐると喧騒から離れたそこには静寂の世界が。今も神学校らしい空気が漂っています。
<基本情報>
住所:Rue Assouel, Marrakech
アクセス:ジャマ・エル・フナ広場から車で約7分、徒歩であれば約17分
公式サイト(外部リンク)
「バヒア宮殿」は19世紀中頃に建てられた壮大な宮殿。モロッコ建築の伝統をしっかり反映させた建物で、“美しさ”と意味する“バヒア”の名の通り、豪華な装飾、優雅な庭園で訪れる人々を魅了します。8ヘクタールもある敷地に、中庭を囲むような間取りで建物があり、なんと150もの部屋が。モロッコ王族や貴族たちがここでどのような暮らしをしていたのか、想像が止まないでしょう。
<基本情報>
住所:Avenue Imam El Ghazali, Marrakech
アクセス:ジャマ・エル・フナ広場から徒歩17分
公式サイト(外部リンク)
イスラム様式の城門をイメージした外観を持つ、マラケシュ国鉄の駅「マラケシュ駅」。アーチ状のガラスを幾何学模様で縁取った正面玄関は、駅舎のイメージとはかけ離れていて、パッと見たところモスクの入り口のようにも見えるでしょう。中に入ると天井の高いロビーが広がり、空間を贅沢に使っていることが伺えます。
ロビー以外のスペースには、売店やファストフード店なども。電車の待ち時間も快適に過ごせるようになっています。電車を利用する予定がなくても、ふらっと立ち寄って覗いてみては?
<基本情報>
住所:Centre Gueliz Gare ONCF Marrakech
アクセス:ジャマ・エル・フナ広場から車で10分
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マジョレル庭園の敷地内にある「ベルベル・ミュージアム」。ベルベル人は北西アフリカに古くから住んでいる先住民です。モロッコはアラブ人が移住してくる以前はベルベル人が住んでいましたが、今では少数になっています。
ミュージアムでは、アラブ人とはまた違う文化で生活用品や農具、服装などが展示され、ベルベル人の創造性の豊かな生活を知ることができます。
写真提供:frickr.com
<基本情報>
住所:Rue Yves St Laurent, Marrakech
アクセス:マジョレル庭園内
公式サイト(外部リンク)
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マラケシュのランドマークと言えるのが「クトゥビアの塔」。セビリアの“ヒラルダの塔”、ラバトの“ハッサンの塔”と並ぶ、世界三大塔の1つと言われています。2023年の大地震の際、一部崩れたものの倒壊を免れました。
高さ約77mのミナレット(イスラム教のモスクに付属する高い塔)で、建設されたのは12世紀。先に完成したモスクがあったのですが、メッカに対して位置がズレているという理由で取り壊され、新たに建て直されました。ミナレットはよく見ると4面にはそれぞれ異なる装飾がされているので、ぜひ見比べてみてくださいね。
<基本情報>
住所:Avenue Mohammed V, Marrakech
アクセス:鉄道 マラケシュ駅から車で約5分
オリーブの木が茂る庭の中央に貯水池を湛えた「メナラ庭園」。12世紀に造られた庭園で、技術が十分に発達していない当時から水理学を駆使し、なんと約30kmも離れた山々から人工池に水を引き入れているとのこと。周囲の庭園や果樹園のための灌漑用水路として使用されているほか、かつては戦術的な理由にも用いられたとも言われています。また、水辺にあるの東屋はスルタン(皇帝)たちのデートスポットであったと伝えられています。
現在は、静けさを求めた人々が訪れるスポットに。恋人と訪れて、スルタンたちが過ごした時間を辿ってみるのもロマンチックですね。
<基本情報>
住所:Les Jardin De La Menara, Marrakech
アクセス:マラケシュ駅から車で約10分。または、ジャマ・エル・フナ広場からバス11番に乗車し、メナラ入口にて下車
公式サイト(外部リンク)
「サアード朝の墳墓群」は、マラケシュが都として栄えた16〜17世紀のスルタンたちが眠る墓。1557年にサアード朝の第3代統治者であるアフマド・アル・マンスールによって建設され、マンスール本人の墓もここにあります。
ミフラーブ(メッカの方角を示すもの)がある礼拝堂、イスラム神話や歴史を描いた漆喰彫刻の壁、色彩豊かなタイル装飾の天井、モザイクの床など、繊細で神秘的な空間。イスラム世界の王家の墓がどういったものかを目にすることができます。
<基本情報>
住所:Rue de La Kasbah, Marrakesh
アクセス:ジャマ・エル・フナ広場から徒歩約15分
マラケシュは、モロッコ周遊の旅で必ずと言っていいほど組み込まれる定番の観光都市。2日前後でマラケシュのハイライトを観光するというスタイルが一般的です。今回はマラケシュに2泊3日滞在すると想定した際のモデルコースをご紹介します。
【マラケシュ・モデルコース一例】
<1日目>
まずは「マジョレル庭園」へ。センスが光る青い建物と自然美の融合に刺激を受ける。同じ敷地内ある「ベルベル・ミュージアム」にも入館し、今まで触れたことのなかったベルベル人について学ぶ。「伝統工芸館」へ移動し、職人たちの技を目にしながら、工芸品などの価格相場をチェック。タジン鍋料理のランチでパワーチャージしたら、いざ「スーク」へ。
バブーシュや自宅でも使えそうなスパイス、アクセサリーなどを購入。値段交渉も強気で行え、大満足のショッピングとなる。マラケシュ滞在の楽しみの1つでもあった高級ホテルにチェックイン。暑さで疲れた体をプールでクールダウン。日が沈みかけたところで、夕食を兼ねて、「ジャマ・エル・フナ広場」へ。
<2日目>
予約しておいたオプショナルツアーで「アイト・ベン・ハドゥ」へ。難攻不落の城塞都市だったということもあり、その複雑な構造に興味津々。アイト・ベン・ハドゥの全景を望めるレストランでランチをしてから、マラケシュ中心部へ戻る。閉館までに間に合ったので「ベン・ユーセフ・マドラサ」を訪問。学校だったとは信じがたいくらいの美しさ、広さに圧倒される。こだわって予約したホテルをもっと楽しもうということで、ディナーはホテルでいただくことに。
<3日目>
マラケシュ最終日。まず「バヒア宮殿」へ。想像していた以上に敷地が広く、部屋数の多さ、広範囲に渡る豪華な装飾にしばし見入る。次に訪れた「サアード朝の墳墓群」でも美しいモザイクタイルに魅了される。昼食にクスクスを食べ、モロッコ周遊旅の次の目的地へと移る。
滞在時間が1泊程度であれば、市内中心部の観光に集中してもいいですね。日中は営業時間が決まっている施設をまわり、ジャマ・エル・フナ広場は賑わいを見せる夜に訪れるなど、工夫してマラケシュを楽しんでみてくださいね。
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旧市街として世界遺産にも登録されている、かつての帝都マラケシュ。地元の方の活気に気圧されながら市場や広場で買い物を楽しむことはもちろん、スパイス香る街そのものを歩くだけでも刺激的な時間を味わうことができます。魅力的なスポットが秘めているマラケシュは、ぜひ直感で「行ってみたい!」と思った場所を優先的に訪れてみてくださいね!
(文:トラベルjp ナビゲーター 木内つばめ)
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