アジアとヨーロッパに挟まれた国アルメニア。世界で初めてキリスト教を国教化した国で、宗教的な建物が街のあちこちに見られます。過去には旧ソ連の構成国だった歴史も。
トラベルjp ナビゲーターが現地取材した情報をもとに、古くから独自の文化をもつアルメニアのおすすめ観光スポットをご紹介します。
世界最古の都市のひとつ!アルメニアの首都エレバンおすすめ名所by 大川原 明
旧約聖書の創世記で語られる“エデンの園”。アダムとイブが暮らしていたその土地は、現在のアルメニアの首都「エレバン」だと言われています。そんな世界最古の都市の1つである「エレバン」は南にアララト山を望み、機械製造や金属業、ワイン、ブランデー製造、たばこ製造業が盛んな人口110万人程の都市です。
旧ソ連時代に計画的な都市再建がおこなわれたため、古い街並みは失われましたが、その代わりに現在では整然とした街並みを見ることができます。アルメニアの白ブドウから作られたワインと湧き水を原料とするブランデー“アララト”の工場や、トルコやペルシャ、ソ連などの周辺国から影響を受けたアルメニア料理を味わえるレストランもぜひ訪れてみてください。
<基本情報>
住所:Yerevan, Armenia
アクセス:ズヴァルトノッツ国際空港からバスや車で約1時間
公式サイト(外部リンク)
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首都“エレバン”から車で南東に進むこと約50分。渓谷に囲まれた丘の上に建つ「ガルニ神殿」。1世紀に建てられたこちらの神殿は、キリスト教が国教となった際にほぼ全ての神殿が壊されてしまったアルメニアで、唯一現存するヘレニズム様式の建築物です。かつては王の夏の離宮として使われていた歴史も。
壁の石には大理石ではなく玄武岩、そして継ぎ目に卵白が使用されているのがアルメニア式!屋根には、強さのシンボルとして使われていたライオンのレリーフがあしらわれています。細かい部分にも注目してみると思わぬ発見があるかもしれません。“エレバン”からガルニ村まではバスでもアクセスできますが、乗継が心配な場合は現地ツアーに参加するのがおすすめです。
<基本情報>
住所:Garni Historical and Cultural Museum
アクセス:エレバンからバスやタクシーで約50分
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アザート川(アザト川)上流にある世界遺産「ゲガルド修道院」は、岩を削って造られた洞窟修道院。聖グレゴリウスが洞窟に造った小さなキリスト教の教会から始まり、長い年月をかけて周辺に洞窟修道院が形成されました。キリストの脇腹を刺したロンギヌスの槍が4世紀まで保管されていたという伝承を由来に、アルメニア語で“槍”を表す“ゲガルド(ゲハルド)”と呼ばれています。
首都“エレバン”からは車で約1時間の距離。“ガルニ神殿”からは車で約15分なので、あわせて訪れるのがおすすめです。また、アザート川にかかる石橋には、たくさんのハンカチや布が結ばれています。願い事がある人はハンカチを持参し、アルメニア式願掛けにトライしてみるのもいいですね。
<基本情報>
住所:Geghard, Mets Gilanlar
アクセス:エレバン中心部からタクシーで約1時間
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「ノラヴァンク修道院」は自然あふれる深い渓谷に建つ修道院。13〜14世紀ごろに天才建築家・モミックと建築家・シラネスによって建てられ、その美しさから“アルメニアの至宝”とも称されます。荒々しい渓谷と壮麗な教会のコントラストがとても絵になる場所です。
オリジナルの教会が地震で倒壊後に修復されたのは、未完の階段が残る“聖アストヴァツァツィン教会”、十字架の形をした“聖カラペト教会”、そして獅子と人間が融合したレリーフがある“聖グリゴール教会”の3か所のみ。正面の急な階段から礼拝堂に上ってみると、2階建ての“聖アストヴァツァツィン教会”から眺める渓谷美は見事!外壁のレリーフも思わず見惚れてしまう美しさです。
<基本情報>
住所:Noravank Monastery Rd, 3604
アクセス:エレバンから車で約1時間、近隣のアレニ村からタクシーで約15分
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アルメニア最大の「セヴァン湖」は、“アルメニアの真珠”とも称される美しい湖。海がない内陸国・アルメニアの人々にとってはオアシスのような存在です。年々水位が上昇して面積は縮小しているものの、この規模では世界最高レベルの標高を誇る湖として知られています。
湖を見下ろすような北西部湖畔の高台には、アルメニア観光で見逃せないスポット“セヴァナヴァンク教会”があります。9世紀に建てられ、中世のままの姿を現在に残しています。かつては島にぽつんと修道院がある形でしたが、現在は水位が上昇して半島に。200段以上の階段を上りきった先にある石造りの厳かな教会と、時間とともに表情を変える湖の眺めは見応え充分です。
<基本情報>
住所:Lake Sevan
アクセス:エレバンからセヴァナヴァンク教会まで車で約1時間
世界最古の都市のひとつ!アルメニアの首都エレバンおすすめ名所by 大川原 明
首都“エレバン”の中心にある「共和国広場」は、大きな噴水と池、アルメニア歴史博物館やアルメニア国立美術館など、バラ色の建物群が目を引く市民の憩いの場です。街全体が美しいバラ色に見える理由は、周辺から採掘される凝灰岩を建材として用いているため。夜には音楽に合わせた噴水ショーやライトアップも行われ、ロマンチックなデートスポットとしても有名。周辺にある内閣府、郵便局、マリオットホテルなどの建物群も外観が美しく、見逃せません。
「共和国広場」が起点となるアヴォビヤン通り、アミルヤン通り、北大通りなどは、おしゃれなカフェやローカルグルメが味わえるレストラン、土産物店などが点在するエリア。街歩きも楽しめます。
<基本情報>
住所:Republic Square, Yerevan
アクセス:エレバン歌劇場から徒歩約15分
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2000年に世界遺産に登録された「ズヴァルトノツ古代遺跡」は、聖なる都市・エチミアジンにあります。なかでも見どころは、世界最古の教会と言われ、アルメニア使徒教会の総本山である“エチミアジン大聖堂”。7世紀ごろに建てられたものの、10世紀に起こった地震で大部分が倒壊。現在は修復された1階の一部だけが残されており、荒野に建つ大聖堂跡に圧倒されます。
特に7世紀ごろの建物ながら、柱のアーチ部分の装飾は見事。ビザンチン皇帝のコンスタンティヌスも魅了されましたが、ローマでは再現に至らず、このスタイルのものはこちらでしか見ることができません。神父たちが暮らしていたローマ浴場や会議室、ホール跡やワイン貯蔵所、アルメニア文字の日時計も必見です。
<基本情報>
住所:Cathedral and Churches of Echmiadzin and the Archaeological Site of Zvartnots
アクセス:エレバン中心部から車で約30分 ※現地ツアー利用がおすすめ
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トルコとの国境近くに位置する「ホル・ヴィラップ修道院」は、アルメニアにおけるキリスト教発祥の地。礼拝堂は何度か建て替えられたものの、聖グレゴリウスがかつてキリスト教を布教したことで13年間も幽閉されていた地下牢は現存しており、実際に下りてみることもできます。地下10mほどの深さまでハシゴで降りるので、滑りにくい靴がおすすめ!
首都“エレバン”からはバスやタクシーで約40分。バスは本数が少ないため、タクシーや現地ツアーを利用するのが効率的です。「ホル・ヴィラップ修道院」へ向かう途中には、アララト山を背にした修道院の神々しい姿を見られる絶景スポットも!シャッターチャンスを逃さないよう、カメラの準備をしてから車に乗り込んでください。
<基本情報>
住所:Khor Virap
アクセス:エレバンから車で約40分
アルメニア北部、ジョージアとの国境近くにある「ハフパット修道院」は、固い玄武岩で造られた山の上の修道院。4本の柱とドーム型の屋根で構成された“ガヴィット”という伝統的な建築様式が見られる世界遺産です。聖堂、教会、鐘楼、図書館などから構成される複合施設で、山の中とは思えない広い敷地に、複数の建物が入り組んで建てられています。外観は華やかではないものの、重厚な雰囲気。かつては500人ほどの修道士が暮らし学んでいました。
教会はそれほど規模が大きくないものの、遥か昔に描かれたフレスコ画が現在もうっすらと残っています。また、「ハフパット修道院」にある十字架の石板“ハチュカル”はアルメニア国内でも特に有名なもの。こちらもお見逃しなく!
<基本情報>
住所:Haghpat Monastery
アクセス:近隣の町アラヴェルジからタクシーで約15分、エレバンから車で約3時間 ※現地ツアー利用が便利
公式サイト(外部リンク)
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世界最古の都市のひとつ!アルメニアの首都エレバンおすすめ名所by 大川原 明
展望台まで続く高度差118m、幅が50メートルの巨大階段が有名な「カスカード」。国内外からの観光客だけでなく、ランドマークとして市民にも親しまれているスポットです。足腰に自信があれば、572段の階段を上ってみましょう。階段の踊り場には、花壇や噴水、彫刻が置かれています。地下にはエスカレーターが設置されているので、階段で上る自信のない方もご安心を。エスカレーター周辺にも、現代美術品が展示されています。
展望台からは首都“エレバン”の美しい景色が広がっており、天気の良い日は遠くアララト山までを見渡すことができます。昼間も良いですが、夕陽に照らされた街を眺めに、夕方を狙って訪れてみるのもおすすめです。
<基本情報>
住所:Cascade Complex, Yerevan
アクセス:メトロ「イエリタサルダカン」駅より徒歩約15分
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世界最古の都市のひとつ!アルメニアの首都エレバンおすすめ名所by 大川原 明
アルメニアの古文書や写本などおよそ2万3000点を保管している古文所保管所「マテナダラン」は、首都“エレバン”で必ず訪れたいスポット。展示されているのは保管されている資料の一部ですが、貴重な古文書や写本を見ることができます。
写本に描かれた細密画は聖書の物語をモチーフにしたものが中心、色鮮やかで非常に見応えがあります。古来より異民族による支配を受けてきたアルメニア。他国の支配下においてもアルメニア人は写本に力を注ぎ、言葉と宗教を守ってきました。アルメニア人が伝統と民族性を維持してきた歴史を、膨大な資料から見ることができます。チケットはオンラインで事前に購入しておくと便利。子どもは割引料金にて入場可能です。
<基本情報>
住所: Mashtots Avenue 53, 0009, Yerevan, Armenia
電話番号:+374-10-562578
営業時間:10:00〜17:50
定休日:日曜日、月曜日、祝日
アクセス:メトロ「イエリタサルダカン」駅から徒歩約15分、カスカードから徒歩約10分
公式サイト(外部リンク)
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首都“エレバン”から日帰りで訪れることができる自然豊かな高原リゾート「ディリジャン」。34,000ヘクタール以上の広大な敷地をもつ“ディリジャン国立公園”には、森林浴が楽しめるハイキングコースが整備されています。国内では避暑地としても知られており、伝統建築の別荘が並ぶ街並みは他の都市とは一風変わった雰囲気。街には伝統建築を活かしたホテルが点在。予算が合えばぜひ宿泊し、修道院や街並みをじっくりと散策してみてください。
なお“エレバン”からは直通バスのほかに、“セヴァン湖”の畔にある“セヴァナヴァンク教会”に立ち寄るバスも運行中。せっかくなら、美しい湖にも立ち寄りながらの日帰り旅行はいかがでしょうか。
<基本情報>
住所:Dilijan
アクセス:エレバンから車で約1時間半、バスで約2時間半
標高2,300mの切り立った崖の上に建つ「アンベルド要塞」。7世紀頃から国境を守る要塞として使われ、王族の避難時には城としても機能していた歴史ある要塞です。エレバンから車で約1時間の距離にありますが、交通の便があまり良くないので、タクシーか現地ツアーを利用するのがおすすめです。麓のアンタルト村から曲がりくねった一本道を上っていくと、玄武岩で頑丈に造られた巨大な城塞が姿を現します。
冷たい風が吹きつける高山地帯なので天候が傾きやすく、雨や曇りの日など雲がかかっているときには、近くに行くまで要塞の全貌が見えないことも。雲の切れ間から姿を現す要塞は、まさに“雲の上の城”という名がぴったりの堂々とした姿です。
<基本情報>
住所:Amberd Road
アクセス:エレバンから車で約1時間
公式サイト(外部リンク)
アルメニア第二の都市「ギュムリ」は、トルコとの国境近くにあります。黒い火山岩が用いられた建築物が特徴的!“エレバン”のバラ色の街並みとは対照的な、黒の街並みが楽しめます。1988年の大地震で建物の多くが倒壊してしまったものの、200年前から続く街並みと伝統文化をそのまま保存しようとする人々の働きによって、クラシカルな美しさが保たれています。
門や燭台などの製鉄技術が発展してきた歴史があり、街全体に今も残る鍛冶の伝統はユネスコ無形文化遺産にも登録されています。アートの発信地としても知られ、街中には若手アーティストたちが構えるギャラリーも点在。一つひとつ精巧な絵付けがされたコマはお土産として人気です。
<基本情報>
住所:Gyumri
アクセス:エレバンから車で約2時間
美しい十字架も必見!アルメニアの世界遺産ハフパット修道院by Kaycom D
トルコやイランに隣接するアルメニアは、こぢんまりとした国土ながら深い歴史や壮大な自然など見どころがぎゅっと詰まった魅力的な国。特にキリスト教との関係は切っても切れないもの。キリスト教以前の宗教建築も残っており、主要スポットを巡るには最短でも3泊4日ほどの日数があると理想的です。今回は、家族でもカップルでもひとり旅でも楽しめるプランをご紹介します。
【アルメニア・モデルコース一例】
<1日目>
初日は首都・エレバンから観光をスタート。中心部に見どころが集まっているので、徒歩とメトロで巡ることができます。まずはカスカードに上り、展望台から街を一望。マテナダランで古文書を見学したあとは、整然とした街並みを散策しながら、共和国広場へ。広場周辺のレストランで伝統料理に舌鼓。午後は現地ツアーやタクシーで、近郊の世界遺産スポットへ。ズヴァルトノツ古代遺跡とガルニ神殿、ゲガルド修道院を見て、エレバンへ戻ります。
<2日目>
2日目はバスか現地ツアー、タクシーでアルメニア最大の湖・セヴァン湖へ。セヴァナヴァンク修道院にも立ち寄ってみましょう。ランチは湖畔のレストランで、淡水魚料理にトライ。午後は山岳リゾートのディリジャンへ。ハイキングや伝統建築、修道院巡りなど、思い思いの過ごし方を楽しみます。
<3日目>
3日目はタクシーでさらに北上し、まずハフパット修道院へ。その後はアルメニア第二の都市・ギュムリを目指します。芸術が息づく“黒の街”ギュムリには美しい建築群と、伝統工芸やアートのギャラリー、ショップが建ち並んでいます。心ゆくまで散策し、夜はギュムリの街で1泊します。
<4日目>
最終日はギュムリから車で約2時間かけ、エレバンへ戻ります。フライト時間に余裕があれば、エレバン市内でお土産や美食探しもいいですね。
アルメニアには日本と同じように春夏秋冬がはっきりと分かれた四季が存在しています。観光のベストシーズンは過ごしやすい春と秋。とはいえ、山間部では冷え込むことがあるので防寒着はお忘れなく!食事の値段や交通費がリーズナブルなので、子連れファミリーでもある程度費用を押さえて滞在できますよ。予算よりお金が浮いたら、何泊か滞在を延ばし、アルメニアを隅々まで観光するのもおすすめです。
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世界遺産に長い歴史に宗教的な建物に…アルメニアには見どころが満載。その風景はどこかミステリアスです。日本人にはあまりなじみがないかもしれませんが、非日常な風景に出会いたい人にはおすすめです。
エレバン市内はバスや地下鉄での移動が便利ですが、郊外への公共交通機関での移動はあまり便利ではありません。決まった時刻表がない場合もあります。郊外を観光する場合はエレバンなどの大きな街からタクシーで日帰りや、現地ツアーの利用が便利です。
2025年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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