季節を問わず、多くの観光客が訪れる東北の古都、岩手県平泉町。たった100年という短い期間ではありましたが、当時は平安京に次ぐ大都市として栄えた場所です。当時の繁栄を辿れる世界遺産に登録されている中尊寺や毛越寺、そしてパワースポット達谷窟毘沙門堂など見どころがたくさん!また平泉ならではの創作スイーツなども楽しめます。
トラベルjpナビゲーターが現地取材した情報を基に、元旅行会社スタッフのトラベルjp ナビゲーター 木内つばめが、平泉のおすすめの観光スポットをご紹介します。
奥州藤原氏初代清衡が平泉に都を築き、政治の事始めとして建立した「中尊寺」。1105年から落慶まで22年、寺塔40余宇、禅房300余宇に上る大寺となりました。しかし、平泉追討によって中尊寺は金色堂以外すべて焼失。現在ある諸堂は鎌倉以降の再建です。
平泉は源義経と縁のある地。中尊寺の「弁慶堂」には大きな弁慶立往生の像、そして義経の坐像が納められています。
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202
電話番号:0191-46-2211
アクセス:JR平泉駅から岩手県交通バスで約4分、バス停「中尊寺」下車、徒歩すぐ。車の場合、東北道平泉・前沢ICから約15分
公式サイト(外部リンク)
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中尊寺の中でも必見の「金色堂」は、16年の歳月をかけて天治元(1124)年に上棟された奥州藤原氏の廟所にして、黄金によって支えられた平泉文化の象徴です。
特に内陣が際立って絢爛豪華!柱も長押も、金箔をベースに螺鈿、象牙、宝石によって細かな装飾が施されており、圧巻です。その内陣の須弥壇の中には、中央は清衡、左に基衡、右に秀衡と泰衡(首桶)が納められています。
画像提供:中尊寺事務局
<基本情報>
「中尊寺・弁慶堂」を参照
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岩手・平泉「毛越寺庭園」の紅葉は圧巻!浄土世界へのいざないby Lily T
地図を見る中尊寺と並び、世界遺産に登録されている「毛越寺(もうつうじ)」。奥州藤原氏二代目の藤原基衡によるもので、往時はかなりの数の堂塔があり、中尊寺をしのぐほどの規模でした。しかし、度重なる災禍により、すべての建物が焼失。庭園と平安時代の伽藍遺構のみが、ほぼ完全な状態で保存されています。平安様式の本堂は平成元年に建てられたもの。
また、境内にある常行堂(じょうぎょうどう)は、江戸中期に仙台藩主伊達吉村公の武運長久を願って再建されたもの。秘仏とも言われている摩多羅神(またらじん)が祀られており、奥殿の扉は33年に一度開帳されます。
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉字大沢58
電話番号:0191-46-2331
アクセス:JR平泉駅から徒歩約7分。車の場合は、前沢ICから約10分
公式サイト(外部リンク)
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焼失してしまった建物を見ることがはできませんが、「毛越寺庭園」は当時のままの遺物で、国内最大級の浄土庭園。浄土庭園とは、人々が夢に見た浄土世界を体現した庭です。
毛越寺庭園は平安時代の庭園造り秘伝書『作庭記』に沿って忠実に造られたもの。池を海や川などに見立てるように石を配置したりと、細やかに計算されてできた庭。作庭記と照らし合わせて見ると、さらに深みが増します。当時はここにどのように建物があったのかを想像しながら歩くのも情緒溢れる時間でしょう。
<基本情報>
「毛越寺」参照
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東北の古都、世界遺産・平泉にある遺跡「柳之御所」の3つの見どころby いなもと かおり
地図を見る奥羽藤原氏の三代目・秀衡が政治を行った政庁跡だったとされる「柳之御所史跡公園」。鎌倉時代の『吾妻鏡』にも“平泉館(ひたいずみのたち)”の名で登場している場所です。
発掘調査によって堀、池、掘立柱などの遺構や土器、陶磁器などの遺物が良い状態で発見されました。平泉の文化遺産の中でも特に重要な遺跡ということから、国の史跡にも指定されています。
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉字伽羅楽
電話番号:0191-34-1001(柳之御所資料館)
アクセス:JR平泉駅から徒歩約10分。車の場合、前沢ICから約10分
公式サイト(外部リンク)
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「平泉文化遺産センター」は、平泉の文化遺産の魅力を、パネルや映像で紹介している施設。 藤原氏を中心に現代に至るまでの歴史を時系列で整理できるので、各史跡を訪れる前の予習として見学するにはぴったりの場所。平泉の歴史を楽しく理解することができるでしょう。
<基本情報>
住所:岩手県平泉町平泉字花立44
電話番号:0191-46-4012
アクセス:巡回バスるんるんで、バス停「平泉文化遺産センター」下車、徒歩すぐ。車の場合は、前沢ICから約7分
公式サイト(外部リンク)
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「無量光院跡」は、三代秀衡公によって造営された寺院の遺跡。調査の結果、阿弥陀堂の柱間などがたいへん広く、平等院鳳凰堂にならい、さらに超えようとして建てられたとされています。
ここにあったとされる建物の中心線は西の金鶏山と結ばれており、その稜線上に沈む夕日から極楽浄土を描くような狙いが伺え、浄土庭園の最高傑作といわれています。
画像提供:公益財団法人 岩手県観光協会
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉字花立地内
アクセス:JR平泉駅から車で約3分
公式サイト(外部リンク)
二代基衡の妻が造営した寺院の遺跡が「観自在王院跡」。舞鶴池の周辺に浄土庭園が広がり、こちらも背後に金鶏山が位置するようになっています。近世までに庭園は荒廃しておりましたが、修復により現在の姿へと蘇りました。
池に木々や空が映りこんだときには、さらにうっとりとするような景色を目にすることができます。夕日が沈みゆく瞬間、色鮮やかな紅葉シーズンもたいへん幻想的です。
画像提供:公益財団法人 岩手県観光協会
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉志羅山
アクセス:平泉駅から徒歩約5分
公式サイト(外部リンク)
のどかな田園風景が広がる県道沿いに立つ「達谷窟毘沙門堂(たっこくのいわやびしゃもんどう)」。延暦20年(801年)創建と、中尊寺や毛越寺よりも古い歴史を誇るお堂です。
時の征夷大将軍坂上田村麻呂がこの地で悪事を働き領民を苦しめていた蝦夷(えぞ)を成敗したことを記念し、京の清水の舞台を模して精舎を建てたのが始まりと言われています。切り立った岩に食い込むように立つそのお堂は、見る者を圧倒する迫力です。
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉北沢16
電話番号:0191-46-4931
アクセス:JR平泉駅から車で約10分
公式サイト(外部リンク)
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毘沙門堂西方の岸壁に刻まれた高さ16.5mほどの「磨崖仏」。北限の磨崖仏で、全国の五大磨崖仏の一つに数えられています。
前九年・後三年の役で亡くなった敵味方の霊を供養するために、陸奥守源義家が馬上より弓筈(ゆはず・弓の両端の弦をかける部分)で彫ったと伝えられているもの。そうであれば、かなりの重労働だったことでしょう。明治29年に胸から下は崩落してなくなってしまい、そのため現在は“岩面大仏”と呼ばれています。
<基本情報>
「達谷窟毘沙門堂」を参照
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毘沙門堂の前にある、金運UPのパワースポット「蝦蟆ヶ池(がまがいけ)辨天堂」。この蝦蟆ヶ池は神の池とされていて、古来からこの池に棲むものは辨天様のお使いであるとして殺生が禁じられ、特に蛇は大事にされています。
辨天様は言わずとしれた金運商売の神様。お財布でガマ口財布がありますが、この池の由来も蝦蟆なのは偶然なのでしょうか…。
<基本情報>
「達谷窟毘沙門堂」を参照
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歴史上の人物の中でも今昔問わず高い人気を誇る源義経。兄の頼朝に拒まれ、義経が逃げてきた地が平泉でした。少年時代を過ごした地でもあり、儚くも最期を迎えた地でもあります。義経に縁のあるスポットがいくつもありますが、中でも有名なのが「高館義経堂」。
ここは義経の居館(=高館)があったとされている場所。北上川を見下ろせ、束稲山が望めるという立地で、その眺望は平泉随一とも言われます。松尾芭蕉の“夏草や 兵どもが 夢の跡”という有名な句が生まれた場所がまさに高館。自身の最後が近づく中、どんな眼差しで義経はこの景色を見ていたのでしょう。
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉字柳御所14
電話番号:0191-46-3300
アクセス:JR平泉駅から徒歩約16分
公式サイト(外部リンク)
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毛越寺へ向かう通りにある小さなカフェ「琥珀」では、秀衡塗の器に美しく盛り付けられ、金粉がのったフルーツあんみつ“秀衡あんみつ”がいただけます。
正月だけではなく、あらゆる祝い事や客のもてなしなどに1年中もちを食べるという平泉の文化。秀衡あんみつは、そのもち文化と平安時代から続く黄金文化を一度に味わえるここにしかない一品。平泉の旅には相応しい甘味です。
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉字志羅山8-34
電話番号:0191-46-2721
アクセス:JR平泉駅から徒歩約3分
公式Instagram(外部リンク)
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「KOZENJI Cafe(コゼンジ カフェ)」は、創作ジェラートで人気のお店。自家栽培のブルーベリーをメインに、地元で採れたイチゴやカボチャ、トマトなどの果物や野菜を使った色鮮やかでジェラートは、濃厚な味わい!ワッフルコーンも地元産の小麦で作ったオリジナル。地産地消に徹底的にこだわっています。岩手の恵みを一気にいただいちゃいましょう。
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉樋渡50−2
アクセス:平泉駅から徒歩約10分
公式サイト(外部リンク)
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平泉の出湯を楽しめる「悠久の湯 平泉温泉」は、町営の日帰り温泉施設。入浴料もお手頃で、大広間の休憩所からプライベートに寛げる個室の休憩所(有料)まであります。観光で疲れた体をリセットするには格好の場所。宿泊先に温泉がない場合は、ここですっきりしちゃいましょう!
画像提供:公益財団法人 岩手県観光協会
<基本情報>
住所:岩手県西磐井郡平泉町平泉字大沢1−1
電話番号:0191-34-1300
アクセス:前沢ICから車で約10分
公式サイト(外部リンク)
見るべき観光スポットがぎゅっと集中しており、移動少なめで巡ることができる平泉。盛岡や遠野なども訪れる岩手周遊旅行の中で、1〜2日使って平泉を観光するというのもいいでしょう。今回は平泉の歴史をなぞるような1泊2日のモデルコースをご紹介します。
【平泉・モデルコース一例】
<1日目>
まずは、予習を兼ねて平泉文化遺産センターへ。平泉の概要をしっかり把握したところで、本気の観光スタートです!早速、中尊寺金色堂の煌びやかな世界を堪能。あわせて弁慶堂なども隈なく見学。ランチ休憩を挟み、続いて高館義経堂へ。義経や芭蕉が見た景色を一望しましょう。無量光院跡を散策し、その後、宿泊先へチェックイン。
<2日目>
最初に達谷窟毘沙門堂へ。一緒に磨崖仏や蝦蟆ヶ池辨天堂もたっぷり見学。その後は金色堂に次ぐ平泉のハイライト、毛越寺へ。建物、そして広い庭園を時間をかけて散策。昼食は軽めにしておき、食後のデザートには秀衡あんみつもしっかり堪能。お腹が満たされたところで、3つめの浄土庭園、観自在王院跡を観光。2日間たっぷり歩いた体を労わるため、悠久の湯 平泉温泉で至福の癒しタイム。疲れを脱ぎ去ったところで、帰路へ。
四季折々の顔も見せてくれる平泉。桜、紅葉、冬景色など、あなたの好きなベストシーズンに訪れると素敵な旅に仕上がるでしょう。旅行会社では、東北の名所と合わせて平泉をまわるパックを用意しているところもあるので、2泊3日以上の長めの旅、移動が大変な冬の時期であればツアーに頼るのもいいですね。
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岩手・平泉は先人たちが夢見た理想郷を辿れるような場所が多く、ドラマティックな観光ができる旅先。歴史と共に丁寧に見学すると、心に刻まれるような時間を過ごすことができます。
平泉を観光する際には“平泉町巡回バス・るんるん”も活用してみてください。主要観光スポットを回るバスで、お得な1日フリー乗車券もありますよ!
2024年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
(文:トラベルjp ナビゲーター 木内つばめ)
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(2024/11/6更新)
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