かつてハプスブルク帝国が栄華を誇った華麗なる古都、そして音楽の都としても名高い人気観光地、ウィーン。ハプスブルク家の歴史に触れられる世界遺産があり、多くの人々に愛され続けている音楽家・現代美術家ゆかりの地を巡ることもできる魅力溢れる都市です。また、冬にはクリスマスマーケットなどその時期ならではの賑やかさを地元の方に紛れて味わうこともできます。
今回は元旅行会社スタッフのトラベルjp ナビゲーター 木内つばめがウィーンのおすすめ観光スポットをご紹介します。
「シェーンブルン宮殿」は、かつてハプスブルク家の夏の離宮として使われ、女帝マリア・テレジアの時代に、彼女の居城として現在の姿に整えられました。
レモンイエローの優しい色使いの建物は、フランスのヴェルサイユ宮殿を手本として造られたとも言われ、整然とした美しさは“ヨーロッパで最も美しいバロック宮殿の一つ”と称えられるほどです。
<基本情報>
住所:Schon-brunner Schlossstr. 47
アクセス:地下鉄・シェーンブルン(Schoenbrunn)駅から徒歩約7分
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旧市街の南東部にある、壮麗なバロック様式の「ベルヴェデーレ宮殿」。トルコ軍からウィーンを救った英雄オイゲン公が建てた夏の離宮です。上宮と下宮、庭園で構成された宮殿は現在、400点以上の作品が展示されている美術館。
多くの人のお目当ては、クリムトの傑作『接吻』。誰もが知る金色に輝く甘美な名画ですね。その原画を、ぜひ実物大、本来の色で見てみましょう。
<基本情報>
住所:Prinz Eugen-Strasse 27, 1030 Wien, Austria
アクセス:路面電車シュロス・ベルヴェデーレ(Schloss Belvedere)駅から徒歩約3分
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元城壁だった“リンク”と呼ばれる環状大通りの内側に、ハプスブルク家が600年以上にわたって住居としてきた「ホーフブルク宮殿(王宮)」があります。
13世紀〜20世紀に至るまで増改築が繰り返された結果、旧王宮と新王宮から成る複雑に入り組んだ建物の複合体となった宮殿。その規模は世界最大級で、現在は複数の博物館が入り、絢爛豪華な展示物を一気に見ることができます。
<基本情報>
住所:Hofburg, Michaelerkuppel, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・ヘレンガッセ(Herrengasse)駅から徒歩約5分
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旧王宮にある「王宮宝物館」は、ヨーロッパの名門・ハプスブルク家の収集品が展示されている宝物館です。非常に見ごたえのある豪華な展示内容で、皇帝の帝冠から、金の十字架、世界最大級のエメラルドや、各国から贈られた最高級品、皇室の赤ん坊のゆりかごなどを目にすることができます。
当時のヨーロッパ最高の品々からは、ハプスブルク家がどれだけ力を持っていたが伺えるでしょう。
<基本情報>
住所:Hofburg, Schweizerhof, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・ヘレンガッセ(Herrengasse)駅から徒歩約5分
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オーストリアを代表する天才的な音楽家、モーツァルト。ザルツブルク出身ですが、後半生をウィーンで過ごし、数多くの名曲を世に送り出しました。
「ブルク庭園(王宮庭園)」のモーツァルト像は、ウィーンで最も有名な彫刻の一つ。台座には楽器や彼が作曲したオペラの一場面、家族と演奏する様子などの彫刻があり、彫像の前の芝生には、赤いベゴニアの花でト音記号が描かれています。
<基本情報>
住所:Burggarten, 1010Wien, Austria
アクセス:地下鉄・カールスプラッツ(Karlsplatz)駅から徒歩約4分
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「オーストリア国立図書館」もホーフブルグ宮殿にある代表的な建物。元々は宮廷図書館でしたが、1920年に一般市民にも公開されるようになりました。
ヨーロッパ最大のバロック様式とも言われる、豪華絢爛なホールは圧巻。高さ約30m、奥行き80mもの広さで、壁面の本棚に大量の本が収まっています。さらに注目したいのが、天井のクーポラ。ハプスブルク家歴代の皇帝の偉業が描かれているのですが、騙し絵になっているため、立体的に見えるから不思議。
<基本情報>
住所:Josefsplatz 1, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・シュテファン広場(Stephansplatz)駅から徒歩約6分
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旧市街の代表的なシアターと言えば、やはり「ウィーン国立歌劇場」。世界各国に国立歌劇場はありますが、オーストリアのそれはちょっと格上扱いの特別な場所です。
世界中のクラシック愛好家を招き入れる歌劇場では、ほぼ毎日、オペラまたは歌劇場専属のバレエ団による公演、クラシックコンサートが上演されています。ウィーンに来たなら、ぜひいずれかを鑑賞してみたいですね。
<基本情報>
住所:Opernring 2, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・カールスプラッツ(Karlsplatz)駅から徒歩約5分
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ウィーンの中心部、王宮前のマリア・テレジア像の左右にほぼ同じ形の宮殿風の建物が対となって建っています。西側にあるのが自然史博物館、東側にあるのが「美術史美術館」です。
世界文化遺産に登録されているウィーン歴史地区内にある美術館で、ここではブリューゲルの代表作『バベルの塔』をはじめ、カラヴァッジョ、フェルメールといった教科書にも載っているような数々のヨーロッパ名画を、実際に目にすることができます。
<基本情報>
住所:Maria-Theresien-Platz, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・フォルクス劇場(Volkstheater)駅から徒歩約5分
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ウィーンの象徴ともいえる「シュテファン大聖堂」は、モーツァルトと深い関わりのある教会。1782年8月4日、モーツァルトはコンスタンツェとこの教会で結婚式を挙げました。そして、葬儀が行われたのもこの教会でした。
大聖堂の地下にはカタコンベ(墓地)があり、ペストで亡くなった人々の遺骨が納められているほか、ハプスブルク家の内臓も保管されています。
<基本情報>
住所:Stephansplatz 3, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・シュテファンスプラッツ(Stephansplatz)駅下車すぐ
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ウィーンの教会といえばシュテファン大聖堂ばかりが注目されがちですが、他にも美しい装飾を携えた教会がいくつかあります。その一つが「ヴォティーフ教会」。
公園に囲まれた落ち着いた環境にあるヴォティーフ教会は、ウィーンで2番目に大きい教会。圧倒されるほどの大空間に美しいシャンデリアが輝き、鮮明な色彩のステンドグラスは息をのむほどの鮮やかさです。比較的観光客が少なめなので、ゆっくり見学できるのも嬉しいところ。
<基本情報>
住所:Rooseveltplatz, 1090 Wien, Austria
アクセス:地下鉄ショッテントーア・ウニヴェルジテート (Schottentor-Universitat)駅から徒歩約5分
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バッハ、モーツァルトとならんで西洋音楽史上最も偉大な作曲家とされるベートーヴェン。引っ越し魔としても知られる彼は、ウィーンではなんと79回も引っ越しを繰り返しました。
現存しているベートーヴェンの住んだ家もあり、旧市街で公開されているのが「パスクァラティハウス」。今はベートーヴェンの記念館となっています。ベートーヴェンはこの家の最上階である5階で交響曲第5番「運命」、「エリーゼのために」などを作曲しました。
<基本情報>
住所:Moelker Bastei 8, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・ショッテントーア(Schottentor)駅から徒歩約4分
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ベートーヴェンが住んでいたという家をもう1つご紹介。こちらはウィーン郊外にある「ハイリゲンシュタット遺書の家」と呼ばれるベートーヴェン博物館です。難聴に苦しむベートーヴェンが療養の為に移り住んだと言われている場所で、筆圧や修正の跡まで見ることができる直筆の楽譜、そしてベートーヴェン自身のライフマスクとデスマスクなどが展示されています。
ここは以前は100平米にも満たない施設でしたが、2017年にリニューアルオープンし、265平米もの展示施設として生まれ変わりました。昔訪れたという方も、ぜひ再訪してみてくださいね!
<基本情報>
住所:Probusgasse 6, 1190 Wien, Austria
アクセス:路面電車ホール・ヴァルテ(Hohe Warte)駅から徒歩約8分
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ウィーンのガウディとも言われる芸術家・フンデルトヴァッサー。本来は画家ですが、彼が手掛けた独特の建築物をウィーンで見ることができます。中でも「フンデルトヴァッサーハウス」は、大都会に堂々と構える奇抜な集合住宅。実際に人が暮らしているため内観できないのが惜しいですが、外観からここでの暮らしを想像するのも楽しい時間。
そのほか、“クンストハウスウィーン”という美術館、そして“シュピッテラウ”というゴミ焼却場など、ウィーンでは彼の世界観が反映された作品を見ることができます。
<基本情報>
住所:Kegelgasse 36-38, 1030 Wien, Austria
アクセス:路面電車ヘッツガッセ(Hetzgasse)駅から徒歩約2分
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クリムトと同時期に活躍した、アヴァンギャルドな作風が強烈な印象を残す画家、エゴン・シーレ。女性にモテモテなまま28歳で夭折したシーレですが、彼がたくさん遺した自画像からそのイケメンぶりが伝わってきます。
シーレの作品は、世界最大級のコレクションを有する美術館“アルベルティーナ”のほか、現代美術専門の“ミュージアム クォーター”でも見ることができます。
<アルベルティーナの基本情報>
住所:Albertinaplatz 1, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・カールスプラッツ(Karlsplatz)駅から徒歩約4分
<ミュージアム クォーターの基本情報>
住所:Museumsplatz 1, Wien, Austria
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冬ならではの魅力も放つウィーンの街。11月半ばから年末にかけて訪問するなら、市内各地で開催される「クリスマスマーケット」は外せません。
市内最大の規模であり、最も華やかな市庁舎前のクリスマスマーケットは、必ず訪れたい所。毎年各州が持ち回りで首都ウィーンにプレゼントする、立派なクリスマスツリーがランドマークです。
<ウィーン市庁舎の基本情報>
住所:Friedrich-Schmidt-Platz 1, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・ラートハウス(Rathaus)駅から徒歩約2分
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穴場の観光スポット「ウィーン市庁舎」。市庁舎内は個人では見学できませんが、実はガイドツアーに参加することで内部を見ることが可能です。しかもツアーは無料で、週に3回開催。
市庁舎には1575もの部屋があり、ツアーで回るのは大階段、市議会が開かれる議場、舞踏会やコンサートなどが開催される大ホール、歴代市長の肖像画が飾られた会議室など。日本では考えられないレベルのゴージャスさに驚かされるでしょう。
<ウィーン市庁舎の基本情報>
住所:Friedrich-Schmidt-Platz 1, 1010 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・ラートハウス(Rathaus)駅から徒歩約2分
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冬のウィーンの風物詩といえば、野外に設置される「スケートリンク」。地元の人にとっては冬の大きな楽しみです。街中のリンクであればスケート靴のレンタルもあり、ツーリストでも気軽に滑ることができます。観光名所を背景に体を動かすという体験はなかなかできないので、心に残る思い出になるでしょう。
また22区にあるニュードナウでは、凍ったドナウ川でスケートする人々の姿を見ることもできます。
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世紀末芸術を代表するオーストリアの有名な建築家・オットーワーグナー。彼がデザインした独特な建築物の中でも一際異色なのが、郊外に広がる深い森の中に佇む白亜のヴィラです。実際に彼も住んでいた場所ですが、現在はウィーン幻想派の巨匠「エルンストフックス美術館」となっています。
クリムトを彷彿させるような、フックス氏の幻想のイメージ作品が壁いっぱいに埋められていたりと、見事なまでの優雅さと斬新さを兼ね備えた空間。建築自体はワーグナーによるものですが、フックスのデザインした壁紙や家具がさらに豪華さを添えています。
<基本情報>
住所:Huettelbergstrasse 26, 1140 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・ヒュッテルドルフ(Hutteldorf)駅からバス52A・52Bに乗車し、
バス停「Campingplats」にて下車
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第一次世界大戦勃発の引き金となった“サライェヴォ事件”。暗殺されたオーストリアの皇太子、フランツ・フェルディナント大公夫妻が乗っていた車、事件当時に着用していた軍服などが展示されているのが「ウィーン軍事史博物館」です。
第二次世界大戦関連のものも見ることができ、ナチス・ドイツ軍の軽飛行機やジープ、高射砲、現在のヨーロッパで絶対に目にすることがないハーケンクロイツの腕章などが堂々と展示されています。世界を揺るがした瞬間をここで確かめることができます。
<基本情報>
住所:Arsenal Objekt 1, 1030 Wien, Austria
アクセス:路面電車ファザンガッセ(Fasangasse)駅が最寄り
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歴史スポットの観光が続く中で、ふと緊張感をほぐしてくれるのが市場の存在。「ナッシュマルクト(Naschmarkt)」は、毎週土曜日に行われるウィーン最大の蚤の市。なかなか良い状態のリネンや刺繍製品、食材、レストランやカフェ、ファストフードの屋台などが並び、ランチを兼ねて市場を巡ることができます。
<基本情報>
住所:Linke Wienzeile 48-52, 1060 Wien, Austria
アクセス:地下鉄・ケッテンブリュッケンガッセ(Kettenbrueckengasse)駅からすぐ
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短い休みでヨーロッパ旅行をするなら、一都市に観光スポットがぎゅっと詰まったウィーンを検討してみてはいかがでしょう?東京から直行便が就航しており、ウィーン国際空港から市内まで電車でわずか17分でアクセスできる、忙しい休暇に余裕を持たせてくれる条件が揃っています。
今もなお伝えられている歴史や音楽の源流を辿れるウィーン。豊富な観光スポットを時系列に巡るもよし、興味のあるテーマを深掘りするのもよし…ぜひお好みのスタイルで旅のプランを立ててみてくださいね。
2025年1月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
(文:トラベルjp ナビゲーター 木内つばめ)
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