眼下に紅葉が広がるロープウェイ、迫力ある黒部ダム、標高差や季節によって表情を変える立山連峰、日本一の落差を誇る称名滝…。立山黒部アルペンルートは尽きない魅力で多くの旅人の心を捉えています。見どころが多すぎて、初めて訪れる方はどのような観光したら良いのか悩ましいところ。
今回は元旅行会社スタッフのトラベルjp ナビゲーター 木内つばめが、立山黒部アルペンルートの観光スポットをご紹介します。初心者の方も参考にしてみてくださいね!
立山黒部アルペンルートとは、富山と長野にまたがる山岳ルート。標高3,000m級の北アルプスを貫く総延長約37.2kmの観光道路で、そのほとんどが国立公園内にあります。
アルペンルートの立山駅〜扇沢間はマイカーで入ることはできません。その分、観光を楽しませてくれる移動手段が充実しています。初心者から歩けるようなハイキングのコースもちろん、電気バス、ケーブルカー、トロリーバス、ロープウェイなど、ここならではの乗り物で名所を巡れること自体がアルペンルートの醍醐味!さまざまな目線で四季折々の姿を堪能することができます。
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水煙を上げながら一気に流れ落ちる称名滝。その落差は350mで日本一です。立山連峰の雪解け水が多く流れ込む春には称名滝の右側にハンノキ滝が出現。2つの滝となって流れ落ちます。さらに水量が増えれば、ハンノキ滝の右側にソーメン滝も現れ、3つの滝が並ぶ光景が見られます。緑豊かな夏、紅葉が彩る秋など、季節によって違った雰囲気をあじわえる、アルペンルートの秘境スポットです。
<基本情報>
アクセス:電鉄富山駅から富山地方鉄道で約1時間、立山駅へ。立山駅から称名滝探勝バス「称名滝行き」に乗車し、約15分で下車。その後、徒歩約30分
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美女平から室堂にかけて運行する高原バスの区間は、見どころがいっぱい!ぜひとも途中下車していただきたいのが弥陀ヶ原です。ここはラムサール条約に指定された湿原で、快適なトレッキングコースが整備されています。30分程度の軽めの散策コースからありますので、立山黒部アルペンルートを歩いてみたい初心者にもおすすめ。
<基本情報>
アクセス:立山駅からケーブルカーで約7分で美女平へ。美女平から立山高原バスで約30分で弥陀ヶ原着
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弥陀ヶ原は、雲海を望めるポイントとしても人気の場所。標高が高く、眺望が開けている地形なので、富山湾に広がる雲海に沈む夕日を見れるチャンスもあります。特に6月は雲海の発生率が高い時期。幻想的な光景を旅のメインにしたいなら、ぜひこの貴重な時期を狙って訪れてみましょう。
<基本情報>
アクセス:立山駅からケーブルカーで約7分で美女平へ。美女平から立山高原バスで約30分で弥陀ヶ原着
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4月になると冬の間閉ざされていた立山黒部アルペンルートが開通。4月中旬〜6月中旬には、この時期だけの巨大な雪の壁が登場!迫り来る高さ約500mの壁を間近で楽しめる「雪の大谷ウォーク」は春の大人気イベントです。立山に降り積もった雪の量に驚かさせることでしょう。
<基本情報>
アクセス:美女平からバスで約50分、室堂にて下車
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立山黒部アルペンルートの中でも美しい山岳気分が味わえるとして人気の室堂。レストランや、展望テラスなど施設も充実している場所です。
本格的な登山とまではいかないまでも、2時間程度のトレッキングでプチ登山気分が味わえるコースがここにあります。適度なアップダウンを歩みながら雷鳥荘へ向かうお手軽コース。雪の残る雄大な山々を間近に見ることができ、しっかりハイライトを堪能することができます。
<基本情報>
アクセス:美女平から室堂までバスで約50分
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もう一つ小さなお子さんとでも歩けるコースがこちら。みくりが池、エンマ台、そして日本の名峰である劔岳を望みつつ、天狗平を目指すといったルートになります。30分から1時間ほどの散策の中で劒岳を見られるというのがなんとも魅力的ですね。どこを見渡しても山という世界を家族で共有してみてください。
<基本情報>
アクセス:美女平から室堂までバスで約50分
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もっとしっかり山登りを満喫したいなら、立山三山の縦走にチャレンジしてみては?実は立山という山はなく、雄山・大汝山・富士の折立の総称として呼ばれています。さらに立山三山とは、浄土山・雄山・別山の3つの山を称しています。
稜線で結ばれた複数の山々。登った人にしか見られない素晴らしい景色がそこで待っています。ただ、山小屋での宿泊、装備、そして体力が必要となるので、しっかりご準備を!
<基本情報>
アクセス:美女平からバスで約50分、室堂ターミナルで下車し、登山口へ
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夏は褐色、冬は純白の羽をまとうライチョウは、高地に一年中住んでいる唯一の鳥。氷河期に日本にやってきて、氷河期の終わりと共に多くのライチョウが北に帰っていく中、日本列島の中央高地部分に住み着いたと言われています。四季を通じて、ライチョウに出会う確率が高いのが、みくりが池付近と雄山に向かう登山道。貴重な鳥に出会えることは、山登りのご褒美にもなりますね。
<基本情報>
アクセス:みくりが池までは室堂ターミナルから徒歩約10分。雄山山頂へは室堂ターミナルから登山・トレッキングで約2時間
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夏の高山植物も魅力的ですが、秋色に衣替えをした高山植物もまた美しいもの。雄大な山の紅葉に魅了されて、ついつい遠くの山並みばかりみてしまいがちですが、足元にひっそり佇む高山植物にも目をむけてみると、また違った世界を感じることができます。綿毛を付けたチングルマ、夏の終わりを告げるワレモコウなど、ぜひ“秋色アート”を探してみてください。 この写真の記事を見る ≫
室堂のシンボルと言えば、みくりが池。周囲約630mの火山湖です。7月から10月にかけては、紺碧の湖面に山々を映し出し、一層美しい姿を見せてくれます。この雪のない時期であれば、スニーカー程度の軽装で散策することも可能。自然が織りなす芸術品に圧倒されてながら、心地よく感じる程度のプチ登山を体験してみてはいかがですか?
<基本情報>
アクセス:室堂ターミナルから徒歩約10分
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室堂は標高2450mで、毎年20mほどの雪が積もる、世界でも有数の豪雪地帯。例年6月頃までは深い雪で覆われています。春にアルペンルートが開通するとともに訪れると、その雪山の絶景を目の前で見ることができます。その景色を求めて、海外からも観光客が押し寄せるほどの人気。時期によって全く違う景色が見られるところも、アルペンルートのおもしろいところでしょう。
<基本情報>
アクセス:室堂ターミナルから徒歩約10分
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立山黒部アルペンルートを訪れる際、ルート内で宿泊すると、いっそう旅がドラマチックになります。みくりが池のほとりには、日本秘湯を守る会会員宿「日本一高所の天然温泉 みくりが池温泉」という宿があります。
100%源泉掛け流しで、山歩きの疲れを癒すには格好の場所。夜の山の空気を味わったり、星空観察を楽しんだり…宿泊するからこそ得られる時間があります。
<基本情報>
住所:富山県中新川郡立山町室堂平
アクセス:室堂ターミナルから徒歩約15分
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富山と長野を結ぶ立山黒部アルペンルートですが、富山側を往復する片側ルートもおすすめ。時間・予算面で合理的であり、人気のプランです。立山駅から出発し、弥陀ヶ原を抜け、室堂へいき、そこでみくりが池を散策。そして来た道を戻るという行程です。紅葉の時期なら、ケーブルカー、高原バスからの景色を楽しむこともできますよ。
写真提供:(公社)富山県観光連盟
<基本情報>
アクセス:電鉄富山駅から富山地方鉄道で約1時間で立山駅
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大観峰と黒部平を約7分で結ぶ立山ロープウェイ。特別な仕組みのロープウェイで、途中に支柱となる柱が一本ないのが大きな特徴です。景観を邪魔するものがないので、標高差500mのそそり立つ山肌の大パノラマで堪能できます。
<基本情報>
アクセス:
(大観峰)室堂から立山トンネルトロリーバスで約10分
(黒部平)黒部湖からケーブルカーで約5分
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日本一の高さを誇る、黒部ダム。総工費が約513億円、携わった人が約1000万人という想像しきれない規模で造られたアルペンルートの名勝です。逞しいえん堤を渡ることはもちろん、展望台からミストを浴びながら放水を見ることもできます。そのダイナミックな水の量、音を間近で体感してみてください!
<基本情報>
アクセス:黒部平からは、黒部ケーブルカーで約5分で黒部湖へ。そこから徒歩約15分。扇沢からは、関電トンネル電気バスで約16分で黒部ダム着
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2018年までは、資材搬送用に掘削されたトンネル内をトロリーバスが運行していましたが、現在はCO2を排出しない電気バスへと変更。扇沢から黒部ダムまでの全長6.1kmを16分で走ります。
電気バスは1往復ごとに充電しています。電池性能や充電器の向上により、なんとたった10分ほどの超急速充電で運行が可能!技術のめざましい進歩に驚くことでしょう。
<基本情報>
アクセス:扇沢へは信濃大町駅からバスで約40分
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初めて訪れる方には、立山黒部アルペンルートのどこをポイントに見たら良いのか、わかりにくいかもしれませんね。乗り物を駆使して長野から富山まで通り抜ける、富山側だけ掘り下げてしっかり観光する、宿泊も兼ねて登山を満喫する…など、観光スタイルは幾通りもあります。見たい景色、行きたいスポットを日程に合わせて整理し、あなたが満足できるようなプランを作ってみてくださいね!
(文:木内つばめ)
2024年10月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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