バルカン半島にある「コソボ」は、2008年に独立したヨーロッパで最も若い国。面積は岐阜県ほどですが、中世セルビア王国の中核だったため、貴重な建造物、異国情緒漂う街並みなど、観光資源が実に豊富。4つの教会や修道院が、世界遺産“コソボの中世建造物群”として登録されています。歴史ある人工物の魅力をさらに引き出すのが、背景ともなる豊かな自然。見事な景観が訪れた人々の目を楽しませてくれます。
今回は、トラベルjpナビゲーターが現地取材した情報を基に、コソボ旅行で外せない人気観光スポットをご紹介します。
コソボの首都プリシュティナで、一際目立つ建物と言えば、「コソボ国立図書館」。クロアチアの建築家アンドリヤ・ムトニャコビッチがデザインしたもので、オープンしたのは1982年。99個のドームとワイヤーで装飾された独特なデザインで、40年以上も前の建築物とは思えないほど斬新です。大学の敷地内にあり、現在も多くの学生が活用中。内部も凝ったデザインなので、ぜひ覗いてみましょう!
<基本情報>
住所:Prishtine 10030,Kosovo
公式サイト(外部リンク)
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世界遺産“コソボの中世建造物群”の1つ、「グラチャニツァ修道院」。コソボの人口の大部分はイスラム教徒のアルバニア人ですが、こちらの修道院はキリスト教徒のセルビア人が住む村に建てられています。
1321年、ステファン・ウロシュ2世ミルティンによって建てられた修道院。ウロシュ2世は妃をビザンチン帝国から迎えたこともあり、ビザンチン様式で建てられています。全体的に温かみのある、丸みを帯びた優美なラインがその特徴。内部には聖書を題材にしたフレスコ画が施されています。
<基本情報>
住所:Manastir Gracanica, Gracanica
アクセス:プリシュティナから約10km
「マザー・テレサ教会」は、マザー・テレサ生誕100周年である2010年に未完成ながら落成式が行われ、彼女の列聖後の2017年に正式に奉献された、比較的新しいカトリック教会。建てられた理由の1つに、マザー・テレサが修道女を志したのがコソボだったことがあげられます。
他の教会に見られないのが、マザー・テレサの生涯を描いたステンドグラスが多くあること。教会内部が全体的にシンプルなので、色鮮やかなステンドグラスの美しさが実に際立ちます。
<基本情報>
住所:Nena Tereze, Pristina
アクセス:プリシュティナバスターミナルから徒歩約20分
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「ガジメ洞窟」は、1996年に発見された鍾乳洞。現在は1260mのうち、440mを見学することができます。洞窟内は年間平均気温13度とひんやりしており、神秘的な世界。約20〜30分ほどで見学できる気軽な観光地です。
“ロミオとジュリエット”というタイトルの付いた鍾乳石もあるので、ぜひ探してみてくださいね。
<基本情報>
住所:Ferizaj Road, Pristina
アクセス:プリシュティナから車で約40分
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古都プリズレンは、歴史の息吹が残る町。中世的な町並みを撮影するなら、ぜひ“ウラグリ(石橋)”を目指して散策してみましょう。ルンバルディ川に架かる橋で、たもとから旧市街の町並みが広がり、橋のむこうに大きなシナン・パシャ・モスク、そして左奥山手にプリズレン城壁が見える絶景スポットです。
15世紀の終わりにオスマン帝国によって造られた橋ですが、1979年に洪水で流されてしまいました。現在の橋は、1982年に再建されたもの。プリズレンの人々にとって重要な生活道路で、橋を渡る姿からこの土地の暮らしを垣間見ることができます。時には、スケッチする方も見かけることも。
<基本情報>
住所:Prizren, Kosovo
アクセス:首都プリシュティナからバスで約1時間半でプリズレンへ
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「シャタルバン広場」は、かつてバザールがあった場所。現在は整備され、旧市街の中心部となっています。観光馬車が発着する場所でもあり、趣ある街の中で馬が蹄を鳴らす風景は実に風情あるもの。
広場周辺で特に人気なのはお菓子屋さん。名物のナッツ菓子を購入し、その場で立ち食いする若者や観光客の姿が見られ、つられて購入したくなってしまいます。
<基本情報>
住所:Prizren, Kosovo
アクセス:ウラグリ(石橋)を渡ってすぐ
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シャタルバン広場の東側にそびえ立つのが「シナン・パシャ・モスク」。オスマン帝国時代に大宰相シナン・パシャによって建てられたものです。プリズレンはイスラム教徒の住民が多い地域ですが、このエリア最大のモスクで高さ43mのミナレットが付属し、町のどこからも見られるランドマーク的存在です。
内部は上品なアラベスク模様で埋め尽くされ、実に綺麗。イスラム芸術の美しさを肌で感じられるので、ぜひ入場してみましょう。
<基本情報>
住所:Mimar Sinani, Prizren
アクセス:プリズレンバスターミナルから徒歩約20分
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「リェヴィシャの生神女教会」も、世界遺産“コソボの中世建造物群”の1つ。“生神女”とは“神を生みし女”を意味し、正教会におけるイエスの母・マリアの敬称です。12世紀にセルビア正教会の主教座として置かれた教会で、プリズレンが中世セルビアの中心として繁栄した理由にもなっています。オスマン帝国の支配下では、モスクに転用されたましたが、20世紀初頭に再びセルビア正教の聖堂へと戻されました。
コソボ紛争の際には教会の内部が破壊され、崩壊の危険に晒されたことから裏手には有刺鉄線が張り巡らされています。現在も修復はされておらず、外観のみの見学となります。
<基本情報>
住所:Sahat Kulla, Prizren
アクセス:プリズレンバスターミナルから徒歩約15分
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オスマン朝時代に建てられた「プリズレン城塞跡」は絶景スポット。特におすすめの時間帯は、夕日が沈むタイミング。空が赤く染め上げられていく中、オスマン朝時代の建物が夕映えし、琥珀色のあかりが点となって灯り始めます。さらにこのタイミングでモスクから流れてくるアラーの呼び声(アザーンの唱句)が、異国情緒を最高潮へと導いてくれます。
城塞までの道のりは、なかなか険しい上り道。しかし、上った甲斐があったと思えるような景色が待っていますよ!
<基本情報>
住所:Kalaja e Prizrenit, Prizren, Kosovo
アクセス:丘の下からプリズレン城塞跡まで徒歩約20分
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コソボ西部にある「ヴィソキ・デチャニ修道院」は、1335年に時のセルビア王であるステファン・ウロシュ3世デチャンスキーによって建てられたもの。ロマネスク、ゴシック、ビザンチンが融合した珍しい建物です。聖堂は色合いが異なる大理石を組み合わせるなど、細部まで美を追求されていることが伺えます。圧巻は、内部に所狭しと描かれたフレスコ画。状態のよい、鮮やかなフレスコ画が1000点以上も保存されています。
<基本情報>
住所:Komuna e Decanit, 51000, Kosovo
公式サイト(外部リンク)
「ペーチ総主教修道院」は、13世紀頃に創建されたセルビア正教会の重要な施設。深い緑のルゴヴァ渓谷近くにひっそりと佇む修道院で、その静寂と荘厳さはやはり世界遺産の貫禄。印象的な赤色の外観の内部には、色彩豊かなフレスコ画が広がり、別世界に引き込まれた感覚に陥ります。
1つの教会のように見えますが、時代の変化とともに随時増築を重ねたため、歴史が異なる建物によって構成されています。
<基本情報>
住所:Pec Patriarchate Monastery-Serbian Orthodox Church, 30000 Patrijasiska ulica, Peja
アクセス:ヴィソキ・デチャニ修道院から約15km
公式サイト(外部リンク)
複雑に歴史が絡み合う中で育まれてきた、コソボの文化。未だコソボを独立国として認めていない国もあり、ユネスコ世界遺産リストにはセルビアの世界遺産として登録されています。
4つの世界遺産とともに名所をご紹介しましたが、その建造物が建てられた時代背景まで辿ると、さらに充実した観光を体験することは間違いありません。コンパクトな国だからこそ、グッと掘り下げた旅を実践してみてくださいね!
2025年6月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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