写真:村松 佐保
地図を見る美しいリゾート地として人気の浅間山北麓に広がる北軽井沢は、昔は辺り一面荒れ果てた砂地の高原でした。天明3年(1783年)の浅間山大噴火で荒廃した地が六里(24km)にもわたっているほど広大という意味から六里ヶ原と呼ばれ、当時の旅人にとっては最大の難所となっていました。
風が吹けば道は砂でおおわれ、雪が降れば埋もれて、歩く方角を見失い命をなくす旅人も大勢いました。その苦労を見かねて建てられたのがこちらの100体の道しるべ観音です。分去茶屋(現在の砂塚付近)に基点観音、そして沓掛、大笹、狩宿の三方向の道路沿いにそれぞれ33体ずつ、合計100体を建立しました。一丁(約110m)ごとに設置されたことから丁杭(ちょうぐい)式観音とも呼ばれています。
その後、時の流れとともに観音様は姿を消していましたが、現存する30数体がこちらの境内に集められて町の指定文化財となりました。そして地元の方々によって100体に復元されて現在に至っています。
写真:村松 佐保
地図を見る「桜岩地蔵尊」は、軽井沢方面から20キロほどのアクセスです。国道146号(長野県軽井沢町から群馬県長野原町)の北軽井沢信号手前、セブンイレブンとローソンの間の道(県道235号)を左手に800メートルほど進んだ右手にあります。道路脇の境内には桜岩地蔵堂、そして参道の両側には100体の観音様がずらりと並んでいます。お堂には桜岩地蔵尊と丁杭観音が祀られています。
こちらの地蔵尊は波乱万丈の道を辿ってきました。天明の大噴火のさらに前、村人が分去茶屋近くに旅人の安全を願ってお堂を立てて地蔵尊を建立しました。しかしすでに別の場所で本尊を祀っていた寺から異議を申し立てられて、寺社奉行に訴状を提出される騒ぎにまでなってしまいました。そして採決の結果、訴えた寺の勝訴となって、地蔵尊は他の場所へと移されることになりました。
しかし地蔵尊はその後の天明の大噴火で行方不明になってしまいましたが無事に見つかって現在の場所に安置されたという経緯があります。
写真:村松 佐保
地図を見る「桜岩地蔵尊」の桜岩という名称は、南北にある二つの岩山を割るように桜の大木が成長したことからつけられました。一本は枯れてしまいましたが、もう一本は残っています(写真)。堅い岩を割って天に向かって伸びる桜の大木にとても強いエネルギーを感じます。
境内の横を走るこちらの県道は、北軽井沢方面と鬼押しハイウェーを結ぶ道で、浅間山の北麓をドライブするときには欠かせないルートです。駐車場はありませんが北軽井沢のバス停やコンビニ方面から歩けますので、散策コースとしておすすめです。
数々の苦労を乗り越えて歩み続けてきた地蔵尊、そして荒れ果てた地で道しるべとして旅人を見守り続けてきた100体の観音様。どんな苦境にも打ち勝つその力強いエネルギーを感じに「桜岩地蔵尊」をぜひ一度訪れてみてはいかがですか。
住所:群馬県吾妻郡長野原町町北軽井沢1990−4053
アクセス:
・車:中軽井沢方面から国道146号を20km 北軽井沢信号手前を左折 県道235号を800m
・草軽交通 バス:軽井沢駅北口(白糸の滝経由)〜北軽井沢 or 草津温泉行き 北軽井沢下車(39分) 徒歩1キロ
駐車場:なし(北軽井沢バス停横に停められます)
トイレ:なし(旧北軽井沢駅舎にあり)
2020年12月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
村松 佐保
大自然に惹かれて、東京から群馬県の嬬恋村に移住しました。私の住まいは村の南部で、長野県寄りの標高の高い地域です。周囲には豊かな自然が広がり、四季の移り変わりを肌で感じる日々を送っています。鴬のさえずり…
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