美しく、懐かしく、心震える。瀬戸内国際芸術祭2019モデルコース

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美しく、懐かしく、心震える。瀬戸内国際芸術祭2019モデルコース

美しく、懐かしく、心震える。瀬戸内国際芸術祭2019モデルコース

更新日:2019/07/20 12:38

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、東海道完歩ブロガー、青春18きっぷ伝道師

瀬戸内の島々を舞台に3年に1度行われるアートの祭典、瀬戸内国際芸術祭(通称:瀬戸芸)。しかしそこで目にするのはアートだけではありません。瀬戸内の青い海、小さな島々の風景や生活、そして私たちが失いかけている人々との豊かな交流。それが瀬戸芸の本当の魅力です。

そこで今回はそんな瀬戸内国際芸術祭の本当の魅力を感じられる素朴な島々、小豆島・女木島・男木島・大島をめぐる3泊4日のモデルコースを紹介します。

瀬戸内国際芸術祭は島と人々をつなぐアートの祭典

瀬戸内国際芸術祭は島と人々をつなぐアートの祭典

提供元:写真 風祭哲哉 (C)大巻伸嗣「Liminal Air -core-」

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瀬戸内国際芸術祭は2010年に始まり、以来3年に一度行われるアートの祭典。2019年は4回目の開催となり、春・夏・秋の3会期に分かれ瀬戸内の12の島々と周辺地域を舞台にして行われています。

「海の復権」というテーマではじまった瀬戸芸は、現代アートをめぐりながら、近代化の中で忘れ去られていく瀬戸内の島々の文化や生活に触れ、人々の交流を創造することによって、地域を活性化することが目的のひとつでした。

そのため瀬戸芸の魅力はアートだけではありません。自然・文化・食・交流、そのすべてが楽しめる芸術祭として回を重ねるごとに人気は高まり、2019年に行くべき世界の旅行先として「瀬戸内」は複数の海外メディアに取り上げられています。

瀬戸内国際芸術祭は島と人々をつなぐアートの祭典

写真:風祭 哲哉

瀬戸内国際芸術祭は、12の島に200点以上の作品があるため、すべて巡るには1週間程度の滞在が必要です。その中でも直島・豊島・犬島は特に人気があり、期間中は週末を中心に大変な混雑となりますが、この3島は芸術祭期間外も常設の美術館・アートスポットが多いことから、今回はあえてこの3島以外の島をご紹介します。

瀬戸芸の本当の魅力は、島を流れるゆったりとした時間に身を任せること。混雑極まる船に乗るために早くから港に並んだり、美術館の事前予約の時間に縛られて先を急いたり、という過ごし方はあまりお勧めできません。そこで今回は比較的ゆったりと過ごせる、小豆島・女木島・男木島・大島の素朴な4島を選びました。

瀬戸芸めぐりに便利なのが「作品鑑賞パスポート(写真は春会期専用のもの)」。期間中は一部作品や有料イベントを除きこれ1枚で入場できます。鑑賞したアート作品番号にスタンプがたまっていくのも楽しいですよ。

瀬戸内国際芸術祭は島と人々をつなぐアートの祭典

写真:風祭 哲哉

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また、瀬戸芸には小さな瀬戸内の島ならではのマナーや注意点があります。
作品は民家が並ぶ住居エリアにも点在しています。島の人々には挨拶を忘れずに、大声で騒いだり、ゴミを残すことのないようにしてください。また小さな島にはトイレや商店、食堂の数も限られています。事前によく調べておきましょう。

特に注意が必要なのは週末や繁忙期の船での移動。フェリーは比較的定員が多いのですが、高速船は定員が少なく満席で乗り切れないこともあります。瀬戸内国際芸術祭のWebサイトやアプリで事前に調べ、混雑を避けて日程を組みましょう。

なお、瀬戸内国際芸術祭2019の夏会期は、2019年7月19日(金)から8月25日(日)までの38日間、秋会期は9月28日(土)から11月4日(月)の38日間となっています。

1日目:まずは一番大きな小豆島を1泊2日で

1日目:まずは一番大きな小豆島を1泊2日で

提供元:写真 風祭哲哉 (C)チェ・ジョンファ「太陽の贈り物」

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まずは瀬戸内国際芸術祭の玄関口、高松から船で小豆島の土庄へ。
小豆島はバス路線やレンタサイクルが充実しているため移動は比較的便利ですが、12の島の中で一番広く、作品も広範囲に点在していますので1泊2日でポイントを絞ってめぐりましょう。また遠方からアクセスすると土庄港到着は昼すぎとなるので、初日は午後から回れるコースをご案内します。

土庄港に降り立つと、さっそく出迎えてくれるのはオリーブの葉を王冠の形に仕立てた「太陽の贈り物」。また土庄港フェリーターミナルは「アートノショーターミナル」に改装され、コシノジュンコさんの作品「SPIKE DRESS」などが展示されています。

1日目:まずは一番大きな小豆島を1泊2日で

提供元:写真 風祭哲哉 (C)ワン・ウェンチー(王文志)「小豆島の恋」

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土庄港からバスで約20分、天まで続くような美しい棚田が広がる中山間地、肥土山地区にも作品が集まっています。代表作はこの棚田の中にできた2019年の新作「小豆島の恋」。膨大な数の竹でできた巨大ドームの中ではごろんと寝転がって過ごすことができます。

1日目は土庄港周辺に泊まれば、朝夕の時間帯に「迷路のまち」と呼ばれる土庄の町並みや小豆島No.1の人気スポット「エンジェルロード」も楽しめます。

2日目:オリーブと青い海。小豆島の魅力たっぷりのコースへ

2日目:オリーブと青い海。小豆島の魅力たっぷりのコースへ

提供元:写真 風祭哲哉 (C)清水久和「オリーブのリーゼント」

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小豆島2日目の午前中は醤の里/坂手地区がおすすめ。
オリーブ畑の中に突如現れる不思議なアート「オリーブのリーゼント」は小豆島の人気作品。近くの民家にはリーゼントのかつらも用意されていて、インスタ映えスポットとして大人気です。

草壁港や田浦半島も含めると、この地区には数多くの作品が広い範囲に点在していますので、各々のペースで無理のないようにプランニングしてください。

2日目:オリーブと青い海。小豆島の魅力たっぷりのコースへ

提供元:写真 風祭哲哉 (C)伊東敏光+康夏奈+広島市立大学芸術学部有志「潮耳荘」

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午後は小豆島の南に突き出た三都半島へ。ここにも多くのアートが点在し、短時間で回るのはなかなか難しいのですが、半島最奥部の「島の家 こうのうら(神浦)」から住民の有志が無料巡回車を出してくれることもあります。こうした地域住民との交流も瀬戸芸ならではの豊かな時間ですね。

瀬戸芸のアート作品はありませんが、魔法のほうきで空飛ぶ写真が撮れる小豆島オリーブ公園は三都半島の付け根のあたり。帰りに時間があればぜひ立ち寄りたいスポットです。

3日目:高松周辺の2つの小島、女木島・男木島へ

3日目:高松周辺の2つの小島、女木島・男木島へ

写真:風祭 哲哉

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3日目午前中は高松からフェリーで20分の女木島へ。
女木島の中央には巨大な洞窟があるため、ここは鬼ヶ島伝説が残り、島内にはたくさんの鬼のモニュメントがあります。瀬戸芸のアート作品は女木島港周辺と、山の上の鬼ヶ島大洞窟にありますのでバスをうまく活用してめぐりましょう。

3日目:高松周辺の2つの小島、女木島・男木島へ

提供元:写真 Osamu Nakamura (C)オンバ・ファクトリー「オンバ・ファクト…

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女木島から船で20分の男木島には平地がほとんどないため、島の斜面に張りめぐらされた迷路のような細い坂道を歩きますが、男木島の魅力はまさにこの坂道。島のおばあちゃんがすぐ先の曲がり角にいるような懐かしさに心が震えます。

「オンバ・ファクトリー」は坂道の多い男木島の必需品、オンバ(乳母車)にカラフルなペイントや装飾を施しアートに仕立てた作品。このオンバ、実は日常でも島のおじいちゃん、おばあちゃんに利用されています。

3日目:高松周辺の2つの小島、女木島・男木島へ

提供元:写真 風祭哲哉 (C)山口啓介「歩く方舟」

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「歩く方舟」は男木島南部の海岸に設置された作品。旧約聖書に出てくるノアの方舟のエピソードに着想を得た方舟が、海を渡ろうと歩くさまを視覚化しています。

白と青に着色した4つの山がある方舟が、瀬戸内の穏やかな海や青い空に溶け込むようにたたずむ姿は、思わず時間を忘れて魅入ってしまいます。

4日目:大島なくして瀬戸芸なし。ここは絶対行ってほしい島

4日目:大島なくして瀬戸芸なし。ここは絶対行ってほしい島

写真:風祭 哲哉

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4日目は高松から高速船で30分の大島へ。ここは、島全体が国立ハンセン病療養所で、長い間閉ざされた島でした。瀬戸内国際芸術祭の開催にあたっては、不当に差別されてきたこの大島の人々の本当の姿を広く社会に知らしめることが大きなテーマのひとつでした。

4日目:大島なくして瀬戸芸なし。ここは絶対行ってほしい島

写真:風祭 哲哉

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大島では「こえび隊」と呼ばれるボランティアのガイドツアー参加が基本。園内で亡くなったものの遺族に引き取られることのないままの入所者の遺骨が納められた納骨堂や、かつて亡くなった入所者の解剖が行われ、海に捨てられていた解剖台(写真)などをめぐりながら、こうした過去の歴史を聴くと言葉に詰まります。

4日目:大島なくして瀬戸芸なし。ここは絶対行ってほしい島

提供元:写真 風祭哲哉 (C)田島征三「青空水族館」

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「青空水族館」はかつて入所者が暮らしていた寮に作品を展示したもの。海岸の漂流物や廃材などを使い、大粒の涙を流し続ける人魚や、難破船、水中の多様な生き物など、陸の上に海底の世界を繰り広げる回遊型のインスタレーション。

このように島内のアート作品は大島の悲しい過去にそっと寄り添いつつ、未来への希望も示すものになっています。
大島なくして瀬戸芸なし。ここは絶対に行ってほしい島です。

瀬戸内国際芸術祭の本当の魅力とは

瀬戸内国際芸術祭の総合ディレクター、北川フラムさんが瀬戸芸の素晴らしさを語った、心震える逸話があります。

それはとある島でのできごと。
都会からぞくぞくとやってくる人々に最初は戸惑っていたおばあちゃんが、ある日家の前に氷を入れた発砲スチロールを用意し、道行く人に100円でコーラを売り始めたのです。その飲み物は自分が自動販売機で120円で買ってきたもの。おばあちゃんは商売ではなく、遠くから島に来てくれた人に感謝を伝え、おしゃべりをするためにやっているのだといいます。

これがこの瀬戸芸の真髄、島と人々をつなぎ、参加者も地域も元気になる、ということなのでしょう。

ハワイもいい、東京ディズニーランドもいい、でもときどきこんな旅をするのも、もっといい。それがこの瀬戸芸の魅力にほかなりません。

2019年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/08/28−2019/05/05 訪問

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